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芥川賞作家 玄侑宗久さんに聞く (下) インタビュー ()・(
円空の祈り
円空の祈り
円空作「宇賀神像」(部分、江戸時代・17世紀)=千光寺 
 
円空の祈り
草の根から人々救済 

 ◆聞き手 文化部長・鈴木博幸

 ―円空は各地を行脚し10万体を超える仏像を彫ったといわれる。
 「名匠のミケランジェロも運慶も、いわば制作チーム。それに対し円空の木彫りは個人の『行』だった。人との出会いの中で見いだした行だと思う」

 ―今、東日本大震災の被災地では、多くの人々が救済、復興を祈り、物的な支援にも取り組んでいる。
 「宮城県には、はがきに1文字書いて1000円を贈るという支援に取り組む寺がある。1万円ずつなら手間は10分の1で済む。しかし、より多くの人に関わってほしいと、効率的な方法は採らず『行』として行っている。『一木半銭(いちぼくはんせん)』という言葉がある。それは、わずかなものの積み重ねを重視する昔からの考え方。円空の場合、お金ではないが、草の根のように、出会う全ての人々を救済していくという行だったのではないか」

 ―行脚は東北、えぞ地(北海道)にも及んだ。
 「東北地方は中世、奥州藤原氏が築いた一大仏教王国が広がり、古くから信仰心が涵養(かんよう)されていた。その歴史を背景に多くの人々が憧れ、松尾芭蕉も『奥の細道』で『風流ここに至れり』と詠んだ。つまり『みちのく』は『感動のある場所』だった。円空も、救済に行くという高飛車な考えではなく、深い情を求めて赴いたのではないか」

 ―円空仏は多様だ。
 「円空が生きた元禄末期のころ、仏とともに天神様や七福神などが並び立つ日本独特の信仰が成り立ってくる。ありがたいものが混沌(こんとん)とした時代だった。また土地土地で言葉が通じにくかった当時、共通語が神仏だった。円空も(農業や食物の神)宇賀神像やお稲荷さんを彫り、その造形は斬新だ。円空は、ありがたいものをすべて肯定し、出会った人々と木に求められたものを彫ったのだろう」

 ―祈りや生命力など目に見えないものを彫った。
 「『空即是色』、つまり形のないエネルギー(空)は形(色)ある姿で現れる―というが、変幻自在の形をとって現れるエネルギーそのものが『円空』という文字に込められている気がする」

◆円空展メモ

■会期 1月27日〜4月5日
■会場 福島市・県立美術館
■主催 実行委員会(県立美術館、福島民友新聞社、飛騨千光寺)
■前売り券 一般・大学生800円(当日券は一般千円、大学生900円)、高校生以下無料
■前売り販売 県立美術館、チケットぴあ、ローソンチケット、中合福島店、うすい百貨店、福島民友販売店、福島民友新聞社(本社、各支社・支局で平日午前10時〜午後5時)
■問い合わせ 福島民友新聞社「飛騨の円空展」係(電話024・523・1248、平日午前10時〜午後5時)へ。
(2015年1月17日 円空の祈り) 
《題字は千光寺住職の大下大圓氏》
 


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