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飛騨千光寺住職大下大圓さんに聞く (中) インタビュー ()・()・(
円空の祈り
 
月空の祈り
木の中に命感じ彫る

 ◆聞き手 編集局次長 小野広司

 ―円空仏からは木のぬくもりを感じる。円空は、なぜ木にこだわったのか。
 「木の中に命がある、という日本人の死生観がある。木をデザインして仏様を彫るのではなく、木の中に既に仏を見ていて、要らないところを取っていく、削っていくと仏像になる―という感覚かと思う」

 ―大下さんから見た円空仏の魅力は。
 「円空仏の中で一番丁寧に彫っているのは不動明王。怖い顔をしているが、実は『慈悲の仏』といわれ、その中に絶対的な優しさが隠れている。円空自身にも思い入れがあって、不動明王を通して庶民に仏教の話をしたのではないか」

 ―木彫としての美術的、技術的な特徴は。
 「木の性質をよく知っていて、木の個性や割れ方を巧みに利用している。私も彫ってみたことがあるが、うまく彫れない。形はそれなりに似せられるが何か違う。円空仏には精神性の深みがあり、技術的にどうしようと思ってもだめ」

 ―晩年では作風がダイナミックになっていく。
 「北海道に行きアイヌの人たちと出会い、作風が変化していった。だんだん(形が)省略されていく。円空自身は最期を悟ると、自分の母をのみこんだ長良川のほとりに穴を掘って、自ら土に返っていく。晩年になるほどあらゆるものをそぎ落とした。目の前にあった闇を透明なものにしていく作業があり、仏像にも反映されていったのではないか」

 ―代表作の両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)も伝説の奇異な姿を一つの仏像にまとめあげた。
 「両面宿儺の二つの顔は怒っている顔と笑っている顔、人間の持っている両面であるし、どちらも大事。陰の部分をどう表現するか、乗り越えるか。円空はそれをダイナミックに表現しており、それが見る人に理屈なしに訴えるのではないか」

 ―本県では残念ながら、円空仏が、まだ見つかっていないと聞く。
 「宮城や秋田には円空仏が残っている。福島も通ったはずなのだが…。今回の特別展をきっかけに『実は家の納屋にあった』『蔵の奥にあった』と、福島から、今まで気づかれていなかった円空仏が見つかったら、おもしろいと思う」
(2015年1月30日 円空の祈り)
 《題字は千光寺住職の大下大圓氏》
 


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