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俳優 滝田栄さんに聞く (中) インタビュー ()・()・(
円空の祈り
円空仏の写真を示す滝田さん
円空の祈り
円空作「賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)坐像」(部分、江戸時代・17世紀)=千光寺
 
円空の祈り
誰でも分かる仏の姿 

 ◆聞き手 文化部長・鈴木博幸

 ―円空とは具体的にどんな僧だったのか。
 「円空が現在の滋賀県長浜市付近で『行』をしていた1663(寛文3)年に北海道の有珠山が大噴火した。その3年後、歩いて北海道まで行き、土地の荒ぶれた神々を鎮めるために地鎮の祈りをした。洞爺湖の真ん中の小さな島の洞窟の中で彫った菩薩を納め、本気で祈った。木を彫り、命を吹き込んだ。現存する初期の円空仏であり、細かく丁寧に彫り上げた普通の仏像に近い。(仏像文化を高めた仏師の一派である)慶派のように磨き抜かれた仏像の姿ではないが、民衆が誰でも分かる菩薩や如来を一生懸命に彫り、置いてきた」

 ―人物像が伝わる逸話だ。
 「人の不幸を聞き、電車も飛行機もない時代に北海道まで歩き、仏像を彫る人がいるだろうか。未開の地でただ一人、洞窟にこもり、1週間ほど祈ったという記録が残っている。円空が彫った仏像は一度盗まれたが、また出てきて、現在は有珠山麓の有珠善光寺に安置されている。NHKの番組収録で円空が仏像を彫った北海道の洞窟に行ったことがある。その時、本気で祈り続けた円空の姿を思い、涙がこみ上げた」

 ―その後の円空の足跡や作風の変化を伺いたい。
 「北海道から戻った円空は奈良の法隆寺に入る。山にこもり、心をきれいにすることを法隆寺で学び、大峰山で1年間、行をして、冬を越えて麓の山で一気に仏像を彫った。この頃から作風が変わり、シンプルというのか、ズバッと切り、目や鼻を付けただけの(簡略化した)仏像を彫り、民衆に与えた。鉈(なた)だけで彫ったともいわれるが、僕はのみと砥石(といし)と金づちを持って歩いていたと思う」

 ―円空は仏像にどんな思いを込めたのか。
 「仏教の真理に触れたことのない、(人の柔らかい心である)和の意味も知らない不幸な人たちの姿を見て、その人たちにふさわしい仏像、12万〜16万体ともいわれるおびただしい数を彫り、惜しみなく与えた」

◆円空展メモ

■会期 1月27日〜4月5日
■会場 福島市・県立美術館
■主催 実行委員会(県立美術館、福島民友新聞社、飛騨千光寺)
■前売り券 一般・大学生800円(当日券は一般千円、大学生900円)、高校生以下無料
■前売り販売 県立美術館、チケットぴあ、ローソンチケット、中合福島店、うすい百貨店、福島民友販売店、福島民友新聞社(本社、各支社・支局で平日午前10時〜午後5時)
■問い合わせ 福島民友新聞社「飛騨の円空展」係(電話024・523・1248、平日午前10時〜午後5時)へ。
(2015年1月14日 円空の祈り) 
《題字は千光寺住職の大下大圓氏》
 


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