≫TOP
詩人 和合亮一さんに聞く (上) インタビュー ()・(
 
円空の祈り
表情に心のありよう 

 震災と原発事故の後、詩を書くことで県民の思いを4年にわたり発信し続けてきた詩人和合亮一さん(福島市)は「円空展」を機に、貧しき庶民のため仏像を彫り続けた円空の魅力と出合った。その驚きと表現者としての共感について聞いた。
(聞き手編集局次長 小野広司)

 ―円空展を鑑賞しての感想は。
 「自分が詩を書くきっかけになった福島ゆかりの詩人高村光太郎と重なった。光太郎は自分をあくまで彫刻家と称した。光太郎にとって、彫刻を創る時の気持ちと、原稿を書くときに紙に向かう時の気持ちは全く同じだと。書も同様で、文字の彫刻なのだという。一筆で思い切りよく書いた荒削りな部分と、『智恵子抄』のように繊細な部分。円空さんの作品が光太郎に重なって見えた」

 ―多くの円空仏の中で特に印象に残ったものは。
 「三十三観音立像。一体一体が同じようでいて、表情が一つ一つ違う。単純に線を引いているように見えるが、線が錯綜(さくそう)してくるような、いろいろなものに見える瞬間がある」

 ―思いを伝えるため詩人が言葉を選ぶように、円空も表情には、こだわったのだろうか。
 「私は高校時代から演劇を続けてきた。教師になっても高校生と向き合い演劇を続けてきたが、特に表情は難しい。心と表情は一つにつながっている。演出するときは、心を丁寧につくっていくように指示する。心ができて初めて、表情ができあがるのだと思う」

 ―同じ表現者として円空の力をどう思うか。
 「芝居で大事なのは、幕が閉まるときに見る者の心が変わっているかどうか。震災から4年が過ぎようとする中で『新しい心のありよう』を求めたいと思っているが、円空仏にはそれを感じさせる力が、一つ一つの像の中にあるように思えた。人の形をして目の前に立っているからだろうかと、驚きを感じた」
  
 わごう・りょういち 福島市出身。福島大大学院修了。県立高教諭。1998年に第1詩集「AFTER」で第4回中原中也賞を受賞、現代若手詩人の旗手と目される。震災後は被災地からツイッターで「詩の礫」を発表するなど被災者の思いを発信し続けている。みんゆう県民大賞芸術文化賞受賞。46歳。
(2015年2月27日 円空の祈り) 
《題字は千光寺住職の大下大圓氏》
 


〒960-8648 福島県福島市柳町4の29
個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN