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詩人 和合亮一さんに聞く (下) インタビュー ()・(
 
円空の祈り
「救い」に思い重なる 

 ―震災から5年目に入ろうとする今、「新しい心のありよう」を考えていると言うが、どういうことか。
 「全国で講演していると『福島は完全に復興してよかったですね』という人もいれば、『いまだに大変なんでしょう』という人もいる。しかし、どちらも違う。福島の人は福島の人間としてたくましく生きている。震災の現実を受け止めながらも、われわれは一歩一歩、前に進もうと思っているんだということも伝えたい」

 ―災害で母を亡くし、やり場のない思いを抱えて仏像を彫り続けた円空と、震災後、詩に思いをぶつける和合さんの姿もまた、重なるようだ。
 「津波で私の教え子の一人は行方不明になり、まだ見つかっていない。別の教え子は家族が亡くなった。詩を書き続けてきて、自分も救われたい、というところがある。円空さんもまた、救われたかったのではないか。そして、傷つき苦しんでいる人たちの気持ちが少しでも変わってほしいという、祈りの気持ちがあるのだと思う」

 ―観覧しながら「木」に関心を示していたが。
 「今、『福島の木』をテーマに詩集をまとめている。展覧会に来る直前までゲラを確認していた。震災と原発事故で、人も傷ついたが福島の木も相当痛めつけられた。震災後、自分には木が人のように思えてならない。その木を詩に書いた。円空展の会場に入ると、まるで森にいるような感じを受けた。円空仏を見ていると、木が人の形になり、さらに祈りの形、怒りの形へと変化していく。自分自身、作品を生み出す上で、とても大事なことを教えてもらった」

 ―円空との出会いは創作に刺激になるか。
 「私には、多くの作品を書いて書いて、最後の最後まで書き続けたいという思いがある。円空さんには親しみを感じると同時に、自分も創作意欲をもっともっと持っていかないといけないと思った。円空さんの足元にも及ばないが、円空さんの姿を追いかけることはできる」
(2015年2月28日 円空の祈り) 
《題字は千光寺住職の大下大圓氏》
 


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