若松で公演 被災した思い、前を向く姿描く

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若松で公演 被災した思い、前を向く姿描く

未曽有の災害に見舞われながらも懸命に生きる県民の姿を描いた「ノクターン―夜想曲」の一場面=1日、会津若松市・會津風雅堂(矢内靖史)

 脚本家倉本聰さんが震災と原発事故で被災した本県を舞台に書き下ろした演劇「ノクターン―夜想曲」は1日、会津若松市の會津風雅堂で公演され、未曽有の災害に見舞われながらも懸命に前を向き、生きる県民の姿を描いた舞台が感動を呼んだ。

 県内では2月の南相馬市に続く公演で、福島民友新聞社が創刊120周年記念事業として開催する県内4会場公演の第1弾。倉本さんが主宰する演劇集団「富良野GROUP(グループ)」のメンバーが、津波で娘を失った父親の悲痛な思いや原発事故の不条理さを訴える舞台は、震災から丸4年となる「3・11」を間近に控える中で忘れることのできない被災者の思いとは何かを観客に問い掛けた。

 会場には同市に避難する大熊町民らも詰め掛け、故郷の相双地方を舞台にした作品に見入り、震災と原発事故後の自らの歳月と思いを重ねていた。

鳴りやまない拍手 会津で心動かす熱演

鳴りやまない拍手 会津で心動かす熱演

開演を待つ満員の観客=1日、会津若松市・會津風雅堂

 会津若松市の會津風雅堂で1日に公演された演劇「ノクターン―夜想曲」。2月の南相馬市公演の後、東京公演などを経て、さらに完成度を増した舞台が観客を魅了した。カーテンコールでは、津波で家族を失った悲しみを乗り越えて前に進もうとする父親らを演じた俳優陣に拍手が鳴りやまなかった。終幕後は脚本家倉本聰さんも舞台に立ち、観客の拍手に笑顔で応えた。

 浜通りから遠く離れた会津で人々の心が動いた。「避難者の心情が分かり、心が強く動いた。原発事故は人間のおごりが招いたのだろうか」と会津若松市の只木洋子さん(72)は声を詰まらせた。

 緻密に作り込まれた演劇が、震災の記憶を思い出させた。同市の会社員戸内由紀夫さん(53)は「当時の情景が鮮明によみがえり、原発事故の不条理さに共感した。この演劇は多くの県民、特に若い人が見るべきだ」と力を込めた。

 震災から丸4年を前に、県内外で震災の風化が進む。神奈川県で暮らす同市出身の大学生成田愛さん(20)は「会津や県外では分からない被災者の思いを知った。震災は絶対に忘れてはならない」と風化の防止に意識を高めた。

 大熊町から会津若松市に避難している40代の女性は「登場人物に知人が重なり感情が高まった。避難者は終わりのない苦しみをこれからも背負わなければならないのか」と苦しみを思い起こした。

福島会場 前売り券販売中

 演劇「ノクターン―夜想曲」は福島民友新聞創刊120周年記念事業として、1日の会津若松市公演に続き、3日は郡山市、5日はいわき市、7日は福島市で公演される。郡山、いわき両会場はチケットがすでに完売。福島会場に限り前売り券を販売中。問い合わせは福島民友新聞社「ノクターン」係(電話024・523・1248、平日午前10時~午後5時)へ。

 3日・郡山市民文化センター(午後6時30分)▽5日・いわき芸術文化交流館「アリオス」(同6時30分)▽7日・県文化センター(同2時)

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倉本流演劇高校生に伝授

倉本さん(左)の話に聞き入る高校生たち