犠牲になった人たちへの鎮魂の思い込め いわき公演

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震災と原発事故の影響に直面する県民の姿や被災者の思いを訴えて感動を呼んだ「ノクターン--夜想曲」=5日、いわき市・いわき芸術文化交流館アリオス(吉田義広)

 脚本家倉本聰さんが震災と原発事故で被災した本県を舞台に書き下ろした演劇「ノクターン--夜想曲」は5日、いわき市のいわき芸術文化交流館アリオスで公演された。津波で犠牲になった人たちへの鎮魂の思いが込められた舞台は、来場者の胸に響き感動を呼んだ。

 福島民友新聞社が創刊120周年記念事業として開催する県内4会場公演の第3弾。倉本さんが主宰する演劇集団「富良野GROUP(グループ)」が演じた。

 地震と津波、原発事故という複合的災害に見舞われたいわき市。震災でさまざまな境遇に置かれている市民や双葉郡からの被災者が客席を埋め、俳優が紡ぎ出す言葉に涙ぐみながら、間もなく発生から丸4年になろうとする時の流れと、災害の重みをかみしめた。

 踏み出す姿胸に刻む 震災「忘れちゃいけない」

開演を心待ちにする長谷川奈緒美さん(左)とめぐみさん=5日午後、いわき市・いわき芸術文化交流館アリオス

 いわき市で5日に公演された演劇「ノクターン―夜想曲」で、観客は地震と津波、原発事故がもたらした深い悲しみや苦しみの中から一歩を踏み出す登場人物の姿を胸に刻んだ。

 約60キロの海岸線を有するいわき市。海と共に生きてきた同市の沿岸部は津波による大打撃を受け、多くの住民が激流の犠牲となった。同市の沿岸部、平豊間地区で暮らす鈴木徳夫さん(79)は「震災当初を思い出した。(震災を)忘れちゃいけないと強く伝わってきた」と感想を語った。

 同じ地区の橋本和彦さん(67)は「震災前に釣りに通っていた富岡を思い出した」と切なさを感じながらも「県外の人たちをはじめ多くの人に見てほしい」と、震災を伝えることの大切さを強調した。

古里で観劇

 脚本家倉本聰さんが開設した俳優養成機関「富良野塾」の22期生で、いわき市平豊間出身の舞台女優長谷川奈緒美さん(28)は、姉めぐみさん(30)と観劇した。

 奈緒美さんは津波で両親と祖母を亡くしたが「遺族にもさまざまな立場の人がいることを知った」とする。舞台出演者は奈緒美さんがよく知る先輩たちだった。「震災を風化させないというメッセージがダイレクトに伝わってきた。仲間たちの姿に心が打たれた」と万感の思いで見届けた。

握手などをして観客を見送る倉本さん(中央)

 7日に福島市公演

 県内公演の最後となる福島市公演は7日午後2時から、県文化センターで開かれる。前売り券は残り少なくなっており、完売次第、販売を終了する。問い合わせは福島民友新聞社「ノクターン」係(電話024・523・1248、平日午前10時〜午後5時)へ。