名作と再び出会う 「倉本聰の仕事と点描画展」、福島で31日まで

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
会場に再現された「北の国から」のセットで倉本作品への思いを語る和合さん

 福島市のとうほう・みんなの文化センターで開催中の展覧会「森のささやきが聞こえますか―倉本聰の仕事と点描画展」。テレビドラマ「北の国から」で知られる脚本家倉本聰さんの創作活動や点描画を紹介している。

◆和合亮一さん来場

「北の国から」の大ファンという福島市の詩人和合亮一さんが会場を訪れ、「ドラマの感動がよみがえってきた」と語った。

 倉本さんがライフワークで取り組む四季折々の点描画104点が展示されている。題材は身の回りの「木」で、心情を想像した短文が添えられる。自身も「木にたずねよ」(2015年)と題した詩集を刊行している和合さんは「私も昔から木のたたずまいにひかれ、人生と重ね合わせてきた。自然に囲まれて暮らす意味とは、木と共に暮らすことではないか」と話す。

◆伝わる思い

 和合さんが特に注目したのは冬の点描画だった。「雪の情景が、さすが倉本さんだなと思う。空白や余白を大胆に生かして、かなり勇気がいる筆遣い。雪に覆われた世界や冬の厳しさを熟知している人ならではの表現だと感じた」

 富岡町夜の森地区で描かれた桜の点描画19点のシリーズ「夜の森 桜はそっと呟(つぶや)く」は今回が初公開。桜の季節になると同地区をよく訪れていたという和合さんは丁寧に鑑賞して「怒りや悲しみ、福島への思いがダイレクトに伝わってくる」と述べた。「それぞれが小さなドラマ作品になっているみたいで、力強いメッセージに心が揺さぶられる」

 会場には「北の国から」の撮影セットや衣装、台本、小道具なども並ぶ。和合さんが選ぶ同シリーズのベスト作品は「'87初恋」。泥の付いた一万円札を黒板純(吉岡秀隆さん)が見せられるラストは、ドラマ史上屈指の名シーンとして知られる。「当時高校生だった私は純君に共感して涙が止まらなかった。映像作品で泣いたのは、生まれて初めての経験だった」

◆影響受けた

 その後は倉本さんの創作姿勢にも影響を受けたという。ある番組で「なぜ富良野にこだわるのか」と問われた倉本さんは「ものをつくる人間は『野生』を失ってはならない。野生が残る富良野にいるから創作活動ができている」と答えた。「詩を書き始めたばかりの若い頃にそれを見て『東京じゃなくてもいいんだ』と感銘を受けた。福島で創作活動ができているのは、このときの影響が大きい」

 5日には「北の国から」で黒板蛍役を演じた中嶋朋子さんの朗読会が同センターで開かれ、和合さんもゲスト出演する。2人で「夜の森 桜はそっと呟く」の文章を朗読する予定だ。

 和合さんは「ドラマの世界を体験でき、夢見心地の気分が味わえた。改めて『北の国から』を見直してみたい」と語った。

▽会期=~31日 ▽時間=午前10時~午後6時(最終日は同4時)

▽入場料=一般1200円、中学・高校生600円、小学生以下無料

▽主催=福島民友新聞社、福島中央テレビ

▽問い合わせ=福島民友新聞社事業部 電話024・523・1334