待望の「ヒメマス漁」解禁 金山・沼沢湖、自粛から4年ぶり復活

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4年ぶりに復活したヒメマス漁。待望の解禁に釣り人は笑顔を見せた=9日午前、金山町・沼沢湖

 「ずっと待ち望んでいた」。東京電力福島第1原発事故の影響で自粛が続いていた金山町の沼沢湖特産のヒメマス漁が9日、解禁された。県内で唯一のヒメマス生息地となる同湖にはこの日、県内外から大勢の釣り人が集結。50匹以上釣り上げた人もいるなど、約4年ぶりの"復活"に、関係者と釣り人の笑顔が広がった。

 沼沢湖の岸には早朝から多くの釣り人が訪れ、思い思いに釣りざおを垂らした。「大勢の釣り人が来てくれてうれしい」。漁解禁を決めた沼沢漁業協同組合長の鈴木茂さん(66)の表情には自然と笑みがこぼれた。

 明治以来100年以上の歴史がある同湖のヒメマス漁は一時、危機に立たされていた。自然繁殖では個体数の大きな増加が見込めないため、同漁協は震災前から毎年百数十万円をかけて、採取した卵から飼育した稚魚10万~19万匹を湖に放流。その経費は、漁で使う刺し網の行使料や釣り遊漁料でまかなってきた。

 その中で東日本大震災と原発事故が発生。2012(平成24)年4月から続く自粛が長引けば、こうした伝統が途切れる可能性もあった。14年8月以降、同湖のヒメマスは食品の放射性セシウムの基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回っており、鈴木さんは「風評への懸念は残るが、これからも多くの人にヒメマスを提供できるようにしたい」と意気込む。

 愛好家も、解禁を待ち望んでいた。栃木県から訪れた茂木美賀さん(71)はこの日、50匹以上を釣り上げた。「漁再開をずっと要望してきた。再開はうれしい」。待望の解禁を喜んだ。

 金山町は16日、同湖で解禁を記念するイベントを行う。ヒメマスの稚魚放流や、試食会などを計画している。

 後継者育成に課題

 ヒメマスは「ヒメマスバーガー」や押しずしにされ、金山町の観光資源として活用されてきた。しかし、刺し網漁でヒメマスを提供してきた漁師が高齢などを理由に引退したため、後継者育成が課題となっている。

 押しずしなどを観光客に振る舞ってきた企業組合おく愛ズの目黒祐一理事長(57)は「秋の行楽シーズンにはまとまった魚の数が必要になる」と頭を悩ませる。沼沢漁協は当面、刺し網漁を漁協で行い、後継者育成も急ぐ考えだ。