郡山、須賀川、平田の三市村の境にある標高952メートルの独立峰。すっくと立つ山容は、見応え十分だ。
寒冷前線が通過した4月下旬。芝桜のじゅうたんで有名な「ジュピアランドひらた」の登山口から菅布禰(すがふね)神社が祭られている山頂を目指した。幅1メートル弱の杉並木の参道が登山道を兼ねている。
登山口から10分ほどの水場を過ぎると、道は所々に花こう岩が露出する急坂に変わった。前日の降雨のせいか、滑りやすい。「もうたくさん」と、ぼやきが出るころ、尾根を越す風の音が聞こえ始めた。
40分ほどの直登で、尾根の道にたどり着いた。そこは沢又南コースとの分岐点で、「山頂500メートル」「ジュピアランド700メートル」の標識を見て、ほっとした。登り始めた時は晴れていた空が、尾根道に出た途端、曇りに変わり、雨がぱらつき始めた。ガスも流れてきた。
分岐点から急ぎ足十分で山頂。菅布禰神社の脇を通り、少し足を延ばせば一等三角点とテレビ中継塔がある。花こう岩の巨石が横たわり、その上から望むと、雲の切れ間から矢大臣、大滝根、高柴など阿武隈の山並みが見えた。
泉崎村の主婦伏見美智子さんが1人、小休止していた。伏見さんは登山歴16年のベテラン。急こう配と眺望抜群のこの山を、飯豊登山の足慣らしのために登った。「天気がいいと、吾妻、安達太良はもちろん、飯豊、那須、太平洋も見られるのに」と伏見さん。
登った道を引き返し、水場に着いたころには、空は再び晴れ、そこで飲んだ水は甘露の一言。疲れを一掃してくれた。
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