1957(昭和32)年に国の天然記念物に指定された北塩原村の高層湿原・雄国沼の北側にそびえる雄国山。7月のニッコウキスゲの最盛期には多くのハイカーが訪れ、雄大な眺望と花々の競演を楽しむ。
雄国山は、猫魔ケ岳の爆発でできた雄国沼の外輪山。沼の誕生は裏磐梯の湖沼群より古く、周囲の湿原にはニッコウキスゲ以外にもミズバショウやワタスゲ、レンゲツツジなどの高山植物が咲き誇る。江戸時代初期にかんがい工事が行われ、貯水ダムとしても利用された。
登山口は4カ所。最もアクセスしやすい喜多方市側の金沢峠はオーバーユースによる自然環境のダメージを防ぐため、2005年度からマイカー規制とシャトルバスの運行を行っている。
今回は同村の桧原湖南側の雄子沢入り口から「雄国せせらぎ探勝路」を歩いた。ブナの新緑がまぶしい登山道は比較的なだらかで、初心者でも歩きやすい。ホトトギスとセミの鳴き声が森に響きわたり、間もなく訪れる夏を感じさせる。
約3キロで山頂と沼への分岐点に到着。つづら折りの樹木のトンネルをしばらく登ると、左側に沼が見えてくる。レンゲツツジが咲き始めた尾根を一歩進むごとに視界が開け、山頂では吾妻連峰や飯豊連峰、磐梯山を望む雄大な眺望が出迎えてくれた。沼の西側には木道が設けられており、湿原植物を気軽に楽しめる。間もなくニッコウキスゲが咲き誇る夏がやってくる。
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