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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 10 】 モモンガ
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大きな黒目が愛らしく
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トチノキの幹に開いた巣穴をのぞき込むニホンモモンガ。両脇の皮膜を広げ滑空する=天栄村・湯本地域
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ムササビが空飛ぶ座布団なら、モモンガはハンカチといったところか。ニホンモモンガの全長はムササビの約半分。大きな黒目が愛らしい。これまで、ムササビとのすみ分けのため深山に生息すると考えられていたが、近年の調査で里山にも生息する身近な生き物であることが分かってきた。
安積高講師の岩崎雄輔さん(28)=郡山市=は、大学時代から夜空を滑空するムササビやモモンガに魅せられてきた。天栄村の湯本地域に調査研究の拠点を持つ。「二岐温泉では、朝に干した布団にモモンガがくっついていて、そのまま部屋に取り込んでしまったこともあるそうです」
県内各地で生息情報
かつて、モモンガはテノヒラバンドリ(浜通り)やモモッカ(会津地方)と呼ばれていた。「山とのつながりが深かった時代には決して珍しい動物ではなかったはずです」。近年、情報不足だったモモンガの生息情報が県内各地で相次いだ。岩崎さんが天栄村で行った調査でも6カ所で生息を確認、謎が多かった生態について徐々に分かってきた。
岩崎さんは研究のため許可を取り、捕獲したモモンガを6畳間に放ち飼育した経験がある。「自分めがけて飛んできて、ふくらはぎにしがみつかれたことがありました」。大きな黒目で見つめられた時、思わずほおがゆるんだという。
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(写真と文・矢内靖史)
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【 ニホンモモンガ 】
ネズミ目リス科。頭胴長約15センチ、尾長約15センチ。年2回の繁殖で、春と夏に1〜3匹の子を産む。
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