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ふくしま里山物語
 かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
【 13 】 養蚕
敬意を込め「蚕様」育てる

養蚕

蔟が整然と並ぶ薄暗い蚕小屋で、繭の状態を確かめる本田さん。温度と湿度の管理には細心の注意を払う=二本松市岩代地区

 蔟(まぶし)といわれる枠の中に浮かび上がる純白の繭玉―。外は汗ばむ陽気だが、薄暗い蚕小屋に入るとなぜか湿度が低くからりとしている。小屋の隅で練炭がたかれていた。養蚕では、徹底した温度と湿度の管理が求められる。蚕に繭を作らせる「上蔟(じょうぞく)」が終わっても、まだ気は抜けない。
 本田健一さん(70)=二本松市岩代地区=宅は先祖代々続く養蚕農家。子どものころから家業を手伝い、「蚕様」とともに生きてきた。母屋の中に蚕室があった時代は、飼育するための竹かご「ワラダ」が所狭しと積まれた。「家族が寝る場所もないぐらいでした」。蚕が桑を食べる「サー」という雨が降っているような音を聞いて育った。

 かつて辺りは一面の桑畑

 かつて、本田さんの庭先から見下ろす風景は一面桑畑だったという。養蚕業は戦後の復興期を経て、昭和30年から40年にかけてピークを迎えたが、輸入品や化学繊維の普及などで衰退していった。
 現在、旧岩代町で養蚕を営む家は7軒。本田さんは「抵抗もなく続けてきました。自分にとっては、ごく自然なこと」と話す。「丈夫な蚕様に育ってもらう」「繭を作っていただく」。本田さんの言葉には蚕への敬意がにじみ出る。「体に染みついているんですね」と穏やかな笑みを見せた。
(写真と文・矢内靖史)
   カイコ 
  絹を採るため古くから飼育されたガの仲間。野生には生息せず、人間の手助けなしには生きることができない。
 
 

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