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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 20 】 湖水浴
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水辺の遊び 孫の世代へ
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湖水浴でにぎわう猪苗代湖。子どもたちが安心して遊べる水質日本一復活への取り組みが続いている=猪苗代町・天神浜
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湖水浴やキャンプなどレジャースポットとしてにぎわいを見せる夏の猪苗代湖。波が穏やかなため、湖水浴場には小さな子どもを連れた親子連れの姿が目立つ。しかし、なによりも安心して泳げる水質があってこその湖水浴だろう。
「今、砂浜が残っているのは観光地だけです」。「猪苗代湖の自然を守る会」代表の鬼多見賢さん(62)は、子どものころから猪苗代湖に親しみ、湖の変化を肌で感じとってきた。「わたしが子どものころは、湖の水がそのまま飲めたんですよ」。かつて、砂浜だった場所にはヨシが生い茂り、水底には泥が積もって素足で歩くこともできない。
水質日本一から転落
猪苗代湖は、長瀬川の鉄分を多く含んだ酸性水が流れ込み、水中のリンなどを付着させて沈殿するという自然の浄化システムを持っている。しかし、近年は湖水の中性化が進み、4年連続だった日本一の座から転落。日本一水のきれいとされた湖は、大腸菌が急激に増えランク外になった。
明るい兆しもある。官民挙げたヨシ刈りなどの水質保全運動が効果を上げ、改善が見られてきたのだ。しかし、鬼多見さんは4、5年後、大腸菌はさらに増えている可能性があると指摘する。「孫の世代に水辺での遊び、伝統的文化を伝えていきたい」。鬼多見さんは、決してあきらめない。
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(写真と文・矢内靖史)
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【 猪苗代湖 】
ミズスギゴケ群落やアサザ、コウホネなどが生育し、貴重な生態系が維持されている。冬は多数のハクチョウが飛来。
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