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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 22 】 コンニャク栽培
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土作りに細心の注意
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五来山を背に広がるコンニャクは畑を殺菌剤を噴射するトラクターが進む。操縦する高志さんにトランシーバーで指示をする福次郎さん=棚倉町
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五来山を背に広がる広大なコンニャク畑。青々とした葉に殺菌剤を散布するトラクターがゆっくりと進んで行く。栽培農家の松本福次郎さん(58)=棚倉町=が時々、運転席にいる息子の高志さん(31)にトランシーバーで指示を出す。松本さんの家は3代続くコンニャク栽培農家。「力になってくれています」。福次郎さんは高志さんの働きぶりに目を細める。
棚倉町はかつて、コンニャク栽培が盛んで、県内でも有数の産地だった。しかし、担い手不足や価格の低迷などで、栽培面積は激減。福次郎さんは、荒れ果てた遊休農地を借り上げ、栽培面積を6ヘクタールまで広げた。
次世代へつなぐ努力
「この畑は、3年前からようやく良い土になりました」と福次郎さん。コンニャク栽培農家にとって、もっとも気を使うのが土作りだ。「いかに土の中を健全に保つか」。草刈りはもちろん、土壌の消毒、連作障害を克服するためにトウモロコシを栽培し、そのまま土にすき込むなど管理には大きな手間が掛かる。
松本さんの家ではこれまで、機械化を進めてきた。それでも、国内のコンニャク栽培の約85%を占める群馬県に比べたらまだまだ。「若い人がやりたい、夢のある農業にしていかないと」と福次郎さん。「そうすれば、自給率なんてすぐに上がるはずです」
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(写真と文・矢内靖史)
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【 コンニャク 】
サトイモ科の多年草。春に植えつけ、初冬に掘り上げる。冬季の種芋は、かびないよう慎重に保管される。
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