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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 29 】 川俣シャモ
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自然豊かな環境で飼育
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開放鶏舎で日光を浴び、のびのびと育つ川俣シャモ。りりしい姿と鋭い眼光は、気性の激しさをうかがわせる
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県内有数のブランドに成長した「川俣シャモ」。県内はもとより、首都圏でも人気を集めるこのブランドシャモは、川俣町の自然豊かな山里で育てられている。
同町小綱木の山あい、川俣シャモ飼育農家佐藤冨夫さん(62)の鶏舎では約1100羽を飼育している。「いい肉質に育てるため、ストレスを与えないように気を遣っています」。闘鶏の流れをくむシャモは気性は荒いが、外敵には敏感。飼育は静かで落ち着いた環境で行われる。
飼育農家は、産卵施設で生まれた約4週間の幼鳥を運び入れ、出荷までの約4カ月間飼育する。鶏舎は放し飼いの施設とつながり、鳥たちは新鮮な空気と陽光の下を悠々と歩き回る。
山間の鶏舎は環境が良い半面、キツネやイタチからも狙われやすく、佐藤さんも対策に苦心している。今は鳥インフルエンザという見えない外敵もおり、より気を遣うという。
エサ、環境に細心の注意
今の川俣シャモは、絹問屋の旦那衆の娯楽だった闘鶏用のシャモが改良されて生まれた。シャモの販売を担う川俣町農業振興公社専務の斎藤正博さん(59)によると「肉質維持のため、えさや飼育環境にはしっかりとルールを定めている」という。川俣シャモのおいしさの理由が分かった気がした。
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(文・白坂俊和、写真・矢内靖史)
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【 川俣シャモ 】
闘鶏用のシャモに改良を重ねて生まれた。年々生産数は拡大しており、昨年は約6万2000羽を出荷した。
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