【 笹の川酒造 】 ニーズに応え続ける<郡山市>

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蒸したコメの状態を手作業で確認する杜氏の猪田さん=郡山市・笹の川酒造

 創業から250年。節目を迎えた「笹の川酒造」(郡山市)を訪ねると、「飲み飽きしない」をコンセプトに、消費者ニーズに即した酒造りに汗を流す職人たちの姿があった。

 昭和期に建設された当時の面影を残す事務所。仕込みの繁忙期の合間を縫って、10代目社長の山口哲蔵さん(62)=写真・下=が日本酒の魅力を話してくれた。

 山口さんは大学卒業後に入社し、1992(平成4)年に社長に就任。「質より量」に偏重する傾向にあった昭和40~50年代、「あえて質にこだわり、インパクトのある商品を」との思いが、雑誌で日本一に推奨された吟醸酒「ほろ酔」の開発に結実した。甘味、酸味、うま味の3味のバランスが、まろやかさや芳醇(ほうじゅん)な味わいを醸し出す。やや苦味を伴ったうま味がコクを加え、主役となる食材を際立たせる。時代を反映させ、瓶の包装紙に、物干しざおや豆腐の行商で使われた節回しの言葉を記載するなど外装にもこだわった。

 清酒仕込みなどを行う蔵の中に入ると、蒸し米の香りが広がり、杜氏(とうじ)の猪田幹雄さん(47)が蒸したコメの状態を手作業で確認していた。「もろみにした時、溶けすぎない程度の硬さが必要なんです」。日本酒には外側が硬く、内側が軟らかい「外硬内軟」の蒸し米が適していることを教えてくれた。

 日本酒は今や世界へと広がり、求められる味も多様化している。山口さんは「新しい味を追い求め、味の幅をさらに広げていきたい」と言葉に力を込める。



笹の川酒造

 東北唯一地ウイスキー
 創業は1765(明和2)年。猪苗代湖の南岸にあったが、陸路の発達に伴って宿場町として栄えていた旧郡山村に移った。1987(昭和62)年には「笹の川大吟醸」が品質の国際評価機関「モンドセレクション」の金賞を受賞。東北唯一の地ウイスキーメーカーでもあり、節目を機にウイスキー造りも本格化させている。工場敷地の空き倉庫を利用したアートスペースは、ギャラリーなどに活用される。笹の川酒造(電話)024・945・0261

笹の川酒造