【 吉の川酒造店 】 極意忠実に守り抜く<喜多方市>

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瓶詰めされた純米酒にラベルを貼り付ける従業員。最後まで手作業で出荷の準備が進められる=喜多方市・吉の川酒造店

 酒蔵に熱がこもらないよう設計された高さのある天井や白い外壁、屋根の隙間。そして、常に清潔に保たれているコンクリートの床。吉の川酒造店(喜多方市)には、酒造りの知恵や技術、精神が先人から脈々と受け継がれている。

 「酒造りは半分掃除」「精米は他人に任せるな」。酒造業を始めて約150年が過ぎた今も、良質な日本酒を製造するための"極意"を忠実に守る。「温度が上がらないよう、酒蔵の南側は舗装していないんだ」。代表社員の冠木孝さん(66)=写真・下=に大正時代に建てられた酒蔵を案内してもらい、隅々に隠された秘密を教わった。

 吉の川酒造店の日本酒は同市内で98%が消費されるため、11蔵元が切磋琢磨(せっさたくま)する激戦区で認められることが商売の大前提だ。冠木さんが古里を強く意識したのは将来の道を悩み、全国を旅していた20代前半のころ。「どこに行っても大阪の人がいて地元の食べ物などを自慢していた。古里にも自慢できるものがあれば」。その後、東京にあった醸造試験所で基礎を学び、26歳の時に家業を継いだ。

 「やや甘口で香りのある酒を目指している」。普通酒の販売が大半を占める一方で、各種鑑評会に出品する「吉の川 大吟醸」にも並々ならぬ思いを込めている。繁忙期の1月下旬はベテラン杜氏(とうじ)の川村利見さん(71)が眠れないほど。精米した山田錦で仕込み、10度以下の環境に保つ。「周りを削られて栄養がないコメを寒さでいじめ抜く。まさに飢餓状態で造られるのが大吟醸酒」と冠木さん。市民が誇れる銘酒は、ここから生まれている。



 

吉の川酒造店

 戦前に「名誉賞」
 獲得会津藩から酒造免許を受け、1870(明治3)年に酒造りを開始。当主は先代まで「吉郎次(きちろうじ)」を襲名していた。隔年で開かれていた全国酒類品評会で3回連続入賞した蔵元に贈られる「名誉賞」を戦前に獲得。県内の受賞蔵は当時二つだけで、旧国鉄喜多方駅前では盛大な祝賀パレードが行われたという。大吟醸酒は昨年まで、全国新酒鑑評会で7年連続の金賞、南部杜氏鑑評会で2年連続の1位に輝いた。吉の川酒造店(電話)0241・22・0059

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