【 大木代吉本店 】 理想の麹を徹底研究<矢吹町>

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改装工事を終え昨年1月に再スタートを切った大木代吉本店

 「自然郷」の銘柄で知られる大木代吉本店(矢吹町)は東日本大震災で酒蔵の一部を損傷、昨年1月に改修工事が完了し再スタートを切った。震災の年に仕込んだ酒は、水分量の調整など一部で仕込みがうまくいかず、苦戦を強いられた。

 5代目の大木雄太社長(46)=写真・下=は「これまでの考えを一から見直さなければ」と一念発起し、震災後、杜氏(とうじ)も兼任、革新を起こそうと酒造りに没頭した。

 同酒蔵の基本理念は「里の自然にやさしい酒造り」。有機栽培された本県産酒造好適米などにこだわり、大木社長は自身の水田で作付けも行う。継承してきた理念と技法を駆使し、固定観念にとらわれない酒造りとは何か、試行錯誤の日々が続いた。

 東京農業大を卒業した大木社長は「化学的な論拠を基にした数値設定を行おう」と、杜氏らの五感や経験で進めてきた洗米から蒸米、麹(こうじ)造り、しぼり、仕込みなどの工程の中で数種類ある酵素のバランスに重点を置き、コメの水分含有量と温度管理を徹底。約3年の歳月を費やしデータを作成し理想の麹を造り上げ、「特別純米・自然郷」を完成させた。

 軟水を使用し、飲み口の良さを演出。酒造好適米「夢の香」はくせがなく口の中でぱっと風味が広がる。

 大木社長は「どんな料理にも合う飾らない食中酒だと思う。冷やか人肌がおすすめ」と自慢の一本を手に「今後、全国に販路を拡大したい」とさらなる高みを目指す。


大木代吉本店

 戊辰戦争で住民鼓舞
 1865(慶応元)年創業。本家で代々みそ、しょうゆ造りを営んでいたが、良質な水が採れることから分家し酒造りを始めた。創業間もなく戊辰戦争が勃発。住民を鼓舞するため創業者の初代代吉が蔵にとどまり酒を振る舞ったと伝えられる。阿武隈川、隈戸川、釈迦堂川の三つに囲まれた矢吹町の名水で造られた日本酒は今なお町民たちを楽しませている。2014酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞受賞。大木代吉本店(電話)0248・42・2161

大木代吉本店