【 若関酒造 】 積極的姿勢が生命線<郡山市>

 
瓶詰めして出荷される看板銘柄の「若関」=郡山市・若関酒造

 阿武隈山系の雄大な自然に恵まれた環境で地元産にこだわった酒造りを続ける若関酒造(郡山市)。「酒造りのモットーは和醸良酒」と、6代目社長の山田平四郎さん(62)=写真・下=が出迎えてくれた。「和醸良酒」は「良い酒は酒に携わる人たちによって生まれる」と「良い酒は人と人との関係を良くする」という二つの意味を持つ。  

 同酒造はコメを全量手洗いするなど、酒造りの随所まで細やかな管理を徹底。杜氏(とうじ)の村松信也さん(60)ら地元蔵人が同市田村町の酒蔵近くを流れ、名水の誉れ高い「御井戸の清水」を使って丹精して仕込み、同市久留米の本社で瓶詰めし、出荷している。村松さんは「造り手の気持ちが伝わることで本当にうまい酒ができる」と話す。  

 吟醸、大吟醸などに冠する一押しの銘柄「さかみずき」の名は、万葉集に登場する大伴家持の長歌の一節に由来。「さかみずき」とは「酒宴」のことで、小泉武夫東京農大名誉教授の著書「酒の話」から影響を受けた。深く、しっかりとしたコクがある濃醇(のうじゅん)な味で、温度を8~10度にすることで冷たすぎず、香り高い酒本来の味を楽しめるという。お薦めの食材は塩を振った冷ややっこ。「食事と一緒に一口ずつ味わうことで料理を引き立たせてくれる」と太鼓判を押す。  

 山田さんは「失敗を恐れず挑戦し続け、本当にいい酒を造ろうとする積極的な姿勢が若関の生命線」。熱いまなざしで日本酒の将来を見据える。




 業界に躍進の願い込め
 幕末の文久年間(1861~64年)創業の老舗。1961(昭和36)年に、中通りの酒蔵3社が瓶詰め部門を協業化した。本社は郡山市の中心部・久留米に位置している。同市東部の田園地帯、田村町の酒蔵では職人たちが昔ながらの製法を守り続けている。銘柄「若関」は、いつまでも若々しく雄々しく酒造業界に躍進することを念願して命名された。全国新酒鑑評会で金賞受賞など実績を持つ。
 若関酒造(電)024・945・0010