【 大谷忠吉本店 】 兄弟杜氏加え新機軸<白河市>

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市街地中心部にたたずむ風情ある大谷忠吉本店

 白河市の中心市街地に蔵を構える大谷忠吉本店には、地域に根差し独自の酒造りに挑戦する蔵人たちがいる。純米吟醸「白陽」を中心に市民の舌を楽しませ、海外にも自慢の味を提供する。

 基本理念は「地元の米、水、人」。コメは県南地方の飯米のチヨニシキ、水は那須山系の軟水、杜氏(とうじ)は同市出身の大木英伸さん(39)と弟の裕史さん(37)兄弟がメインを務める。

 白陽は「濃醇(のうじゅん)で辛口」。通常18~20%の麹(こうじ)の割合を約26%に引き上げ、味の強さと深さを演出する。4代目の大谷浩男専務(47)=写真・下=は「冷やか常温がおすすめ。刺し身や野菜の煮物に合う」と自慢の一本の味わい方を教えてくれた。

 代々受け継がれてきた「白陽」をはじめ、最近は大木兄弟が開発した特別純米酒「登龍」が一押しの酒となりつつある。約20年前、父で先代の3代目大谷忠吉と杜氏が相次いで亡くなり、東京で日本酒販売の営業をしていた大谷専務が急きょ引き継ぐことに。人手不足で臨時に雇ったのが大木兄弟だった。実直な勤務態度と、古里と酒を愛する姿勢を感じ取った大谷専務は、正社員として雇用し県清酒アカデミーに通わせた。

 探究心あふれる2人に「自分たちの日本酒を造ってみろ」と大谷専務は約600リットルのタンクを渡し、2人は数年を費やし「登龍」を商品化。深い味わいが話題の酒となっている。「発展段階の酒。理想からは遠い」と英伸さん。100年後を見据え、地元に愛される酒造りに没頭する。

大谷忠吉本店

 萩原朔太郎の妻の生家
 白河市にあった酒蔵から初代大谷忠吉が独立。1879(明治12)年に創業した。「白陽」の白は白河を、陽は光り輝くを意味する。杜氏(とうじ)の大木兄弟は工程の一つ一つを見直す作業を続け、酒造りに使う箱麹(はここうじ)の道具などは手作り。新潟県の越後杜氏の蔵だったこともあり、スッキリとした飲み口も継承する。同蔵は詩人、萩原朔太郎の妻美津子の生家としても有名。大吟醸は全国新酒鑑評会で金賞の受賞歴を持つ。大谷忠吉本店(電話)0248・23・2030

大谷忠吉本店