【 鶴乃江酒造 】 伝統守り歴史伝える<会津若松市>

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蒸した酒米の放冷作業を行う蔵人=会津若松市・鶴乃江酒造

 古くから大きな商家が軒を連ねる「七日町通り」。歴史的な建造物を観光に活用しており、大勢の観光客が訪れる。鶴乃江酒造(会津若松市)は老舗酒蔵らしいたたずまいで通りに立ち、長く続く酒造りの歴史を今に伝える。

 酒蔵に近代化された設備はなく、仕込みは昔ながらの手法だ。造り手の中心は会津杜氏(とうじ)組合会長でもあるベテラン杜氏の坂井義正さん(74)=写真・下=。「社長の家族を中心に酒造りに取り組んでいる。蔵人はみんな一級品の人ばかりだ」。伝統を支え続けてきた自信が言葉にみなぎる。

 酒蔵を訪れると、白い蒸気が立ち込める釜場で蒸した酒米をざるにあけ、広げて温度調整する放冷作業が始まった。ざるに入れた酒米は蔵人が肩に担いで運び、縄と滑車でつり上げる台に載せ、一つずつ2階に上げる。手作りの昇降機は、昔ながらの酒造りを支える重要な道具の一つだ。この道具を見に来る観光客も多いという。

 県清酒アカデミーを経た、林平八郎社長(74)の長女ゆりさん(43)も女性杜氏として加わり、純米大吟醸「ゆり」の発表で新時代を迎えた。女性好みの味を連想させるゆりだが、坂井さんは「シャープな味。すっきりと辛口の酒」と表現する。

 看板商品の「会津中将」は会津藩主の官位にちなんだ銘柄で、全国新酒鑑評会で5年連続金賞を獲得している。「特別な造り方ではないが、最後は技と真心」。坂井さんが笑顔を見せた。



鶴乃江酒造

 鶴ケ城と猪苗代湖由来
 創業222年の老舗酒蔵。伝統を受け継ぐ林家は会津藩御用達頭取を務めた永宝屋一族で、1794(寛政6)年分家創業した。当主は平八郎を襲名している。  明治初期、鶴ケ城の「鶴」と猪苗代湖を示す「江」から酒名を鶴乃江と改めた。全国の酒蔵から市販されている日本酒のナンバーワンを決める品評会「サケコンペティション2015」で「会津中将 純米大吟醸 特醸酒」が1位に輝いた。鶴乃江酒造(電話)0242・27・0139