【 国権酒造 】 ニーズ捉えた味を追求<南会津町>

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新酒の仕込み作業に励む蔵人=南会津町・国権酒造

 明治時代の面影を残す白壁造りの蔵の中は、華やかな日本酒の香りに満ちていた。新酒の仕込み作業が本格化している国権酒造(南会津町)は、伝統を紡ぎながら時代のニーズを捉えた銘柄を生み出し、新たな日本酒ファンを開拓している。

 若い世代からも人気を集める看板銘柄の一つが「てふ」。柔らかな口当たりと、すっきりとした味わいが特徴で、町内の飲食店ではてふを楽しむ女性も多い。6代目社長の細井信浩さん(44)=写真・下=が1998(平成10)年に家業に入ってから初めて開発した酒だ。

 細井さんが酒造りを始めた当時、同酒造の酒は辛口で力強い味わいの銘柄が主流、左党を中心に好まれていた。日本酒離れが進む現状を心配した細井さんは「これまでの国権の味とは真逆だが、誰でも気軽に楽しめる日本酒を造りたかった」と振り返る。脈々と受け継がれてきた銘柄は残しながら、てふの開発以降もアルコール度数が低く初心者でも親しみやすい日本酒を生み出すなど着実に裾野を広げてきた。

 「海外の反応も知りたい」と、今月19日に米ニューヨークで開かれた県産日本酒の商談会に参加。PRした純米大吟醸酒とにごり酒を味わった米国人からは「すっきりとしていて飲みやすい」などと高評価が相次いだ。「福島の酒の素晴らしさを伝えることができた。日本酒に興味を持ってくれる人を増やしたい」。世界を視野に、細井さんの日本酒普及の夢は膨らむ。




 切れのよい味わい特徴
 創業は1877(明治10)年。約140年の歴史を持つ。原料は酒造好適米のみを使用。全銘柄平均の精米歩合は55%で、雑味がなく、口当たりが柔らかで後切れのよい味わいが特徴。灘(兵庫県)など上方の日本酒が全国的に高い評価を得ていた1980年代にも全国新酒鑑評会で4年連続で金賞を受賞するなど、昔から酒造りの技術には定評がある。同鑑評会では02酒造年度以降も9年連続で金賞受賞している。国権酒造(電話)0241・62・0036