【 寿々乃井酒造店 】 杜氏が自らコメ作り<天栄村>

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趣ある蔵を前に、「良い酒造りのためには良いコメと徹底した衛生管理が欠かせない」と話す永山さん=天栄村・寿々乃井酒造店

 江戸時代には江戸や越後などに通じる道として栄えた白河街道。寿々乃井酒造店(天栄村)は、かつて参勤交代の舞台となった街道近くに蔵を構え、南部杜氏(とうじ)の技術を受け継いだ酒造りを続けている。

 「洗米やふかしには特に気を使う。楽しんでもらえる酒にすることを念頭に力を注いでいる」と社長の鈴木勝也さん(48)=写真・下=がこだわりを教えてくれた。鈴木さんは大学を卒業後、東京の蔵元で修業を積み、実家に戻った。酒造りは主に麹(こうじ)室(むろ)を担当。丁寧な工程で味を整えることに集中する。

 淡麗で甘口の「本格寿々乃井」を中心に普通酒を主に販売していたが、「オリジナリティーのある特化した商品が必要だ」と2000年代にはふくらみのある淡麗な飲み口が特徴の「寿月(じゅげつ)」シリーズを開発、販売を始めた。寿月には、村の杜氏永山勇雄さん(65)が自ら育てる酒造好適米「亀ノ尾」を使う。永山さんは細心の注意でコメ作りに取り組み、「良いコメを育て、寿月にさらに磨きを掛けたい」と語る。

 鈴木さんは、いずれの酒も「イカの塩辛のオリーブオイル掛け」「焼き鳥のねぎま」などのつまみを勧める。「冬場は温めて飲むと甘さが一層引き立つ」と多彩な飲み方を紹介する。

 「初しぼりの甘酒が純米吟醸みたいに感じたと言われた時がとてもうれしかった」と鈴木さん。「流行に流されず、地域に密着した酒を造り続ける」。熱いまなざしで酒造りへのこだわりを語る。


寿々乃井酒造店

 縁起良く祝宴にも人気
 創業200年余の歴史を誇る。酒米には「亀ノ尾」「チヨニシキ」「五百万石」、水は蔵の裏山の雑木林から湧き出る水を使う。人気の「寿月」シリーズはワインの専門誌などでも紹介されたこともある。「寿々乃井」は「寿」が重なる縁起の良い名前ということもあり、祝宴などで使われるという。今年の県産新酒の春季鑑評会では純米の部で「寿々乃井」が金賞に輝いた。蔵でも酒を販売している。寿々乃井酒造店(電話)0248・82・2021

寿々乃井酒造店