「的確な米質対応」奏功 県ハイテクプラザ科長・鈴木賢二さん

 

 県内の各酒蔵や県清酒アカデミー職業能力開発校で技術指導し、県産酒のレベルアップに貢献してきた「立役者」の鈴木賢二県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター醸造・食品科長(56)は、今年の酒米の質にばらつきがあったことを指摘し「これだけ条件が悪い中で史上初の6連覇を達成できた。各造り手が米質を瞬時に判断し、的確に対応した証拠で、本県の技術の底上げを証明できた」と快挙を喜んだ。

 鈴木科長によると、鑑評会出品酒の多くは兵庫県の酒米「山田錦」を使っている。その年に使う酒米の質は日本酒の出来を大きく左右するため、本県では仕込みを前に酒米の質に合わせた対策を立てている。

 前回の酒米は硬く溶けにくいのが特徴だったため、水の割合を減らす「作戦」で対応したが、今回の酒米は収穫期に発生した台風の前か後か、産地がどこかでばらつきがあり、対応が難しかったという。

 冬の厳しさで発酵が緩慢になり、糖が残るため甘くて重い酒になりがちだったというが、各造り手が独自の判断で酒米の質に対応した。

 鈴木科長は「条件の悪さに対応できる実力を各造り手が身に付けている」と対応力を評価する。  一方で、鈴木科長は金賞の常連だった本県の酒蔵のいくつかが受賞を逃したことを課題に挙げ「もう一度理由を検討する必要がある」とも語った。