日本酒で福島県の魅力発信 米へ売り込み強化、知名度向上の鍵探る

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マンハッタンの酒販店を訪れた内堀知事(右から3人目)と県内蔵元の関係者。後方の棚に県産日本酒コーナーが設置される

 福島県は県産日本酒の輸出拡大に向け、輸出量の5割を占める米国への売り込み強化に乗り出す。県産酒の知名度を高め、販路拡大につなげるには何が必要か。内堀雅雄知事の同行取材(5月29日~6月2日)で訪れた米国ニューヨーク市で、その鍵を探った。

 「欧州で有名なワインでさえ、米国で人気が出るのに時間がかかった。日本酒も同じだ。すぐには難しい」。ニューヨーク市中心部マンハッタンにある酒販店オーナーのジェイムズ・クムさん(41)は指摘する。米国で飲まれる酒はビール。そしてワイン、ウオッカ、ジンなどと続き、日本酒はその後。「この地方のワインが好きだという人はいても、この地方の日本酒が好きという人はいない」。近年の和食ブームが追い風になっても、現地での日本酒の知名度はいまひとつとの印象だ。

 県は今秋、マンハッタンに県産酒のアンテナショップを開設する。アンテナショップでの試飲会などを通して県産酒のおいしさを伝え、知名度を上げる狙いだ。知事の訪米に合わせて、県が現地で開いた交流会では"多め"に用意した県産酒が飲み干される好評ぶり。実際に飲んでもらうことが知名度アップに効果的だと実感した。

 現地で日本の食料品を扱っている貿易会社勤務の久野賢一さん(49)は「米国人の舌が肥え、おいしくて高い日本酒を求めるようになってきた。ブランド力と発信力があれば(県産酒も)立ち行ける」と話す。米国の市場に出回る日本酒の銘柄は1200ほど。競争は激しいが、販売戦略や市場調査、効果的な宣伝によって県産酒が選ばれる可能性を秘めている。

 「アメリカでは日本酒のことを全然知らない人ばかりだからこそ、知りたいのは、どんな所で造られた酒なのかということ。造られている地域を知ることで、そこの酒を買いたくなる」。そう語ったクムさんの言葉が心に残る。福島の日本酒をただ売るのではなく、本県で造られた日本酒を通して福島の文化や歴史、風土といった魅力を売る。そこに鍵があると感じた。