「福島酒50号」福島県新酒米の主力品種に 山田錦と同等評価

 

 県は、県オリジナル酒造好適米として開発している「福島酒50号」を次世代の主力品種とする方針を固めた。県酒造組合やJA福島中央会などが集い、10日に郡山市で初めて開かれた会議で、試験醸造の結果、高級酒に多く使われる「山田錦」と同等の酒が造れることが報告された。全国新酒鑑評会の金賞受賞銘柄数で6年連続日本一となった県産酒の振興に向け、会議では福島酒50号の育成、普及に取り組むことを確認した。

 福島酒50号を使った試験醸造は、2017年産で県内4蔵元が行った。このうちの1蔵元が3月の県春季鑑評会・純米の部に参考出品した結果、最高レベルの評価を受けて入賞した。精米歩合40%に削った場合、酒の雑味につながるタンパク質の含有量が少なく、山田錦とほぼ遜色がなかった。

 県唯一のオリジナル酒造好適米「夢の香」はコメの芯にある心白まで削ると、割れやすい傾向があり、蔵元からは品種改良を求める声が上がっていた。全国新酒鑑評会では、本県の8割以上の蔵元が兵庫県を中心に生産される山田錦を出品酒の原料に使用しており、県は吟醸酒や大吟醸酒の醸造に向く酒造好適米として福島酒50号の開発を進めている。

 福島酒50号は本年度、会津坂下、会津美里両町の約135アールに作付けされ、7トン程度の収穫が見込まれる。県は17年産より多い蔵元に試験醸造を依頼する方針。19年度には品種登録を申請、20年の東京五輪・パラリンピックの歓迎会に県産酒として提供することを視野に入れている。

 16年産の生産量は07年産の1136トンから倍以上の2429トンに増加している。主食用米よりも高い収入が得られる可能性がある酒造好適米は農家からも注目されている。