最優秀賞に会津若松・鶴乃江酒造 東北清酒鑑評会、純米酒の部

 
「杜氏、蔵人の苦労が報われた」と喜ぶ林社長(右)と恵子常務

 仙台国税局は9日、2018年の東北清酒鑑評会の結果を発表し、純米酒の部で鶴乃江酒造(会津若松市)が最優秀賞を受賞した。本県酒蔵の最優秀賞受賞は13年から6年連続。優等賞を受賞した酒蔵は延べ32で、他県を大きく引き離して受賞酒蔵数東北一となった。同日、仙台市で表彰式が行われた。

 吟醸酒の部と純米酒の部で審査し、品質評価の成績が優秀な出品酒を優等賞とし、優等賞の中から最も優秀な酒蔵を最優秀賞、それに次ぐ2酒蔵を評価員特別賞に選んだ。本県の優等賞は吟醸酒の部は17酒蔵、純米酒の部15酒蔵の計32となった。秋田の延べ17酒蔵が次に多かった。

 東北6県から吟醸酒の部に138酒蔵231点、純米酒の部に123酒蔵157点が出品され、本県からは吟醸酒の部に30酒蔵52点、純米酒の部に27酒蔵35点が出品された。

 仙台国税局は東北産清酒のインバウンド消費、輸出の促進を図ろうと、今回から品質評価員に外国人2人を加えた。

 純米酒の部最優秀賞の鶴乃江酒造に対し、外国人2人は「バナナを連想させる香りに続き、豊かな風味と控えめな甘みが感じられ、香味のバランスがよく取れている」「華やかな吟醸香の中に乳製品の香りも感じられる」などとコメントした。

 鶴乃江酒造社長「苦労報われた」

 純米酒の部で最優秀賞に輝いた鶴乃江酒造の林平八郎社長(74)は、「杜氏(とうじ)、蔵人の苦労が報われた」と喜んだ。

 同部門の最優秀賞は2014(平成26)年以来4年ぶり。受賞銘柄「会津中将」は、会津藩主の官職にちなんだ名前で、戊辰150年の節目の受賞に縁を感じている。酒造りは、近代的な設備を導入せず、昔ながらの手仕事にこだわってきた。「品質保持のための冷蔵施設は入れているが、ほかの道具は子どもの頃と変わらない」と林社長。一方で、機器による成分分析などを導入し、「データ」を重視する。

 「今ある商品を守り、より磨きをかけていきたい。そして、新しい技術が出てきたときは、積極的にチャレンジしていきたい」とさらなる良酒を目指して、精進を重ねる覚悟だ。