【食物語・クリームボックス(上)】 愛されるご当地パン 誕生から40年

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たっぷりのった特製クリームと軟らかいパン生地が人気の味。店頭には焼きたてが並べられる=郡山市・ロミオ開成店

 郡山市のご当地パンとして知られる「クリームボックス」。店によって作り方は異なるものの、分厚い小ぶりの食パンに、牛乳や生クリーム、バターなどを混ぜたクリームをたっぷりと塗った菓子パンで、今年で"誕生"からちょうど40年。高校の購買部で販売されるなど、市民の間にすっかり定着している。その歴史を探るべく早速取材を始めた。

 ◆高校生から人気

 最初に訪れたのは、県パン協同組合郡山支部長を務める橋本広幸さん(67)。地元のパン業界の重鎮と呼べる人物で、同市開成の「ガトーナカヤ(なかやパン店)」の社長だ。橋本さんによると、「ベーカリーロミオ」が1976(昭和51)年に発売したのが始まり。程なくしてガトーナカヤでも発売するようになった。「今も昔も変わらず高校生を中心に人気で、他のパンより売れ行きが良かった」と当時を振り返る。

 しばらく"地道に"売れ続けたクリームボックスだが、テレビで取り上げられるなど次第に注目を集めるようになり、市外にもその存在が知られるようになった。転機となったのは同市で2014年に開かれた「B―1グランプリ」。郡山のご当地グルメとして取り上げられなかったものの、市民有志が全国からのイベントの来場者にPRしたことで知名度が増した。

 記者が最初に郡山市で勤務した7年前、クリームボックスのことを耳にしたが、それほど有名ではなく食べる機会もなかった。今年4月から再び郡山で働くようになり、「以前よりもクリームボックスの話題が聞かれるようになった」と感じるのはB―1グランプリでのPR効果が大きかったのだろう。

 県外からも「食べたい」との声が届くようになったが、「日持ちするパンではない。おいしいクリームボックスを食べてもらうには郡山に来てもらうのが一番」と橋本さんは薦める。

 ◆他店へと広がる

 「クリームボックスを食べるなら元祖から」と同市開成のロミオ開成店に向かった。「クリームボックスは一番人気で、発売当初から店の看板商品です」。パン製造を担当する黒田典孝さん(33)が少し誇らしげに説明してくれた。ほぼ正方形のミルク風味の食パンに、たっぷりとクリームが塗られている。1974年に同市中町に「ベーカリーロミオ本店」が開店し、76年に新商品としてクリームボックスが発売されると、予想以上の人気で瞬く間に看板商品に成長。他の店にも広がっていった。

 ◆こだわりを凝縮

 当時の資料が残っておらず、クリームボックスがどのような過程で生まれたかは定かではないが、現在もパンの形やクリームの種類は発売当初と変わらない。全て手作りのため大量生産も難しいという。早速、厚みのあるパンにかぶりついた。パン生地は軟らかくクリームは見た目よりもあっさりしている。クリームの甘さが徐々に口の中に広がり、確かに病みつきになる味だ。「食べやすい常温で提供しており、食べる手がべたべたにならないよう仕上げている」と黒田さん。こだわりが詰まった元祖の味は「さすが」のひと言だ。

食物語・クリームボックス(上)

食物語・クリームボックス(上)

(写真・上)店頭に飾られたクリームボックスをPRする旗(写真・下)B-1グランプリで知名度が増したクリームボックス

 ≫≫≫ ひとくち豆知識 ≪≪≪

 【土産用は『ボックス』入り】ロミオは、運営会社の三万石がJR郡山駅構内に設けている「三万石郡山おみやげ館」で土産用の箱入りクリームボックスを数量限定販売している。クリームボックスは日持ちしない菓子パンだが、「土産で買っていきたい」との観光客や消費者のニーズに応えた。県外にも広くPRする狙いもあり、昨年3月に販売を開始。箱にはキャラクター「クリームボッくん」がデザインされ、かわいらしいと評判だ。1箱150円(税込み)。

 【県内外コンビニでも販売】クリームボックスは県内外のコンビニでも販売され、好評を博している。セブン―イレブンは「ひんや~りミルククリームぼっくす」(税込み150円)の商品名で県内の一部店舗で取り扱っており、ファミリーマートは東北6県と新潟県の店舗で「クリームボックス」(同125円)の名で販売している。いずれも期間限定商品だったが、人気が出たため、販売期間が延長された。