「サマーフェス」広野駅前にぎわう 住民、さまざまな思い...

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 広野町で9日に開かれた児童の再会・交流事業やサマーフェスティバルには町内外から大勢の人たちが来場し、普段は静けさの目立つ週末のJR広野駅前は久しぶりににぎわいを見せた。それでも町内は復興が始まったばかりで住民の帰還も十分には進んでいない。夏の広野を熱気で包んだイベントを支えた若者や避難先から駆け付けた住民の表情には、さまざまな思いがにじんだ。

 盆踊りの伝統守りたい 渡辺さん、支える

 サマーフェスティバルの納涼盆踊り大会。子どもたちの踊りの輪に囲まれたやぐらの上で、渡辺克幸さん(25)らが粋なおはやしを響かせた。「少しずつ震災前の盆踊りに近づけたい。それが復興の力になるから」。震災で中断した盆踊りは渡辺さんと仲間の手によって昨年、復活した。

 同町出身で富岡消防署員として避難区域の警戒に当たる一方、町の復興プロジェクト実行委員会副委員長も務める。「新しいイベントを始めるより、伝統を守り続けたい」。復興プロジェクトとして提案したのが盆踊り再開だった。同年代の仲間の協力も受けて自らおはやしの練習に取り組んだ。昨年は心配の方が大きかったが、多くの子どもたちが踊りの輪をつくった。

 震災後は結婚を機にいわき市のアパートに移ったが、来年には町内にマイホームが完成する予定だ。「これからは後輩にも伝統を伝えていきたい」と前を向いた。

 広野やっぱりいいね 高岡さん親子、避難先から参加

 同町で生まれ育った高岡由香さん(33)は、避難先の東京都あきる野市から戻り、小学2年生の長女琉亜(るあ)さん(7)と一緒に再会・交流事業、サマーフェスティバルに参加した。「娘は町のことをあまり覚えていないかもしれないけど、町に戻ると自分が楽しい」と笑った。

 東京電力福島第1原発事故直後に、親戚を頼って一家で同市に移った。仕事も世話してもらい、現在は介護の現場で働く日々を送る。琉亜さんも新しい環境に慣れているという。

 町への帰還を考えたり、家族で話し合いもするが、当面は今の生活を続けるつもりだ。「戻ってくる場所がある。そう思って、もう少し頑張ろうかな」。そう語る高岡さんに、無邪気に駆け回っていた琉亜さんが、ふと話し掛けた。「広野のお祭り、やっぱりいいね」。琉亜さんにも確かに刻まれている古里の記憶に触れ、高岡さんは目を細めた。