【維新再考・識者に聞く】森田 健司さん(3) 戦争の本質、庶民も把握

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 江戸時代の庶民の視点から幕末、戊辰戦争を検証している大阪学院大教授の森田健司さん。判(はん)じ物(もの)で表現された諷刺(ふうし)錦絵から民意を探る連載第3回は、迫り来る新政府軍に対する江戸庶民の心情を解き明かす。

 1868(慶応4)年1月3日に始まった鳥羽・伏見の戦いに快勝した新政府軍は、その直後、将軍徳川慶喜の追討令を出した。「先に挙兵したのは許し難い」との趣旨で事実無根も甚だしい。新政府軍はあえて誤報を流し慶喜が「悪」だと広めた。

 追討令から約1カ月後、新政府軍は東に向かって進軍を始める。目的地の江戸では、繰り返し出される町触(まちぶれ)によって大まかな状況が庶民にも伝えられていた。少なくとも2月ごろには、戊辰戦争の勃発やその意味を庶民は知っていたようだ。

 諷刺錦絵の初期作品である2月発行の「幼童(おさな)遊び子をとろ子をとろ」を紹介したい。

 作者は3代目歌川広重(1842~94年)。一見すると、ただの「子どもの遊び」を描いただけに見えるが、戊辰戦争の状況を諷刺している。

 ※「戊辰戦争」「明治維新」を新たな視点で問い直す長期大型連載「維新再考」は、引き続き福島民友新聞で毎週月曜日に掲載します。どうぞお読み下さい。

もりた・けんじ 1974(昭和49)年、神戸市生まれ。京大経済学部卒、京大大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。現在は大阪学院大経済学部教授。専門は社会思想史で、特に江戸時代の庶民思想の研究に注力している。著書に「明治維新という幻想」「江戸の瓦版」などがある。