脚光浴びる内視鏡治療

　【早期食道がんとは】食道に発生する悪性腫瘍（しゅよう）の９０％は扁平（へんぺい）上皮がんです。上皮性悪性腫瘍にはこのほかにバレット食道から発生する腺がんがあります。食道がんの進行度は、がん浸潤がどの深さまで浸潤しているかで決まります。がんが粘膜内にとどまるものを早期食道がん、粘膜下層にとどまるものを表在がんと呼んでいます。いずれもリンパ節転移の有無は問いません。筋層より深く浸潤したものが進行がんです。

　【検査】リスク（年齢、性別、飲酒、喫煙）の高い人はヨード（ルゴール液）を用いた色素内視鏡検査が効果的です。がんがヨードに染色されないことを利用し、通常内視鏡検査では確認が困難な小さながん病変を発見することができます。最近では機種が開発され、狭帯域内視鏡（ＮＢＩ）を併用した拡大内視鏡により中・下咽頭（いんとう）の早期がんが発見できます。
　エックス線検査は以前は胃の方に重点がおかれていましたが、今は食道も十分に膨らんだよい二重造影像が撮れるようになり、表在がんは発見できるようになりました。食道がんのなかで小さく、凹凸のないものは透視に現れにくく、なかなか発見できません。がんの進達度やリンパ腺転移の有無を調べるために、ＣＴ（コンピューター断層撮影）検査や超音波内視鏡検査があります。

　【治療】食道がんの治療は、内視鏡による治療、手術、放射線や抗がん剤治療に分かれます。内視鏡による治療は現在、脚光を浴びています。
　内視鏡的粘膜切除術は軽い麻酔で行える上に、入院も数日ですが、早期がんのみにしか行えません。この意味でも早期発見が重要です。手術は、切除可能な患者さんに行います。
　胃がんや大腸がんの腺がんと違って、放射線療法や化学療法が奏功します。年齢や合併症の有無で選択されることもあります。
（県医師会会員）
＝次回掲載５月１日