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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 4 〕 寺西 寧 医師    
【 胃がん(下) 】
進行具合で異なる治療

 胃がんと診断されたときは、詳しい内視鏡検査やCT検査を受け、「早期がん」か「進行がん」か正確に判断してもらうことが大切です。胃がんの治療は進み具合で大きく異なります。

 【早期がんの場合】胃がんが粘膜の浅い所にある場合は、リンパ節などに転移していないことがほとんどで、内視鏡で取り除くことが可能です。内視鏡的粘膜切除(EMR)といい、腹を切らずに済みます。また少し大きくなった場合は、内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)といって、特殊な器具を使って早期がんを取り除くことが可能になりました。
 しかし、これは熟練した内視鏡医が行う方法で、すべての医療機関で実施しているわけではないため、問い合わせが必要です。内視鏡で治療後は、1週間くらいで退院が可能です。早期がんであれば、95%以上が治癒します。

 【進行がんの場合】胃がんが粘膜を越えて深く入り込んでくると、リンパ節に転移する確率が高くなり、手術でリンパ節も含めて胃を切除しなければなりません。
 一般に、腹を切って胃を切除する開腹手術が標準的治療ですが、比較的小さいがんに対しては腹に穴を開けて専用カメラで中をのぞきながら、胃を切除する腹腔鏡手術も行われています。腹腔(ふくくう)鏡手術は熟練を要するため、確立した治療にはなっていませんが、将来、普及する可能性があります。どのような手術にしても、胃がんを完全に取り切ることが最重要であることは言うまでもありません。

 【抗がん剤】現在は多くの抗がん剤が使用可能で、これにより延命が可能になっています。手術後に再発を防ぐ目的で、一定の期間、抗がん剤を服用すると生存率が向上するというデータが出つつあります。副作用もありますので、医師と相談しながらの服用が重要です。
(県医師会会員)
=次回掲載5月29日

 



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