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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 6 〕 安島裕之 医師    
【 大腸がん(上) 】
早期発見で完治が可能

 大腸がんについて2回にわたって説明したいと思います。今回は大腸がんの一般的な説明です。

 【大腸がんの特徴】最近、大腸がんが急増しています。2003(平成15)年には女性ではついに胃がんを抜いて「がん」による死亡原因の第1位になり、男性でも肺、胃、肝がんに次いで第4位(本県では女性で第1位、男性で第3位)であり、近い将来、消化器がんの中で第1位になると予想されています。これは食生活の欧米化による脂肪摂取や動物性タンパク質接取の増加が一因と考えられています。
 大腸がんは50歳すぎから増加し始め、高齢になるほど多くなるのが特徴です。大腸がんは比較的おとなしいがんで、早期発見すれば100%近く完全に治療でき、進行がんでも50%は完全に治療が可能です。膵臓(すいぞう)がん、食道がんに比べて完全に治る可能性がはるかに高いといえます。

 【症状】初期(早期)には症状はまったくないと思ってください。がんの症状としては肛門出血、便の細まり、便秘、下痢と便秘の繰り返しなどの症状がありますが、いずれも進行がんにおいて見られる症状です。肛門出血は痔(じ)によることが多いのですが、痔とともに大腸にがんが発見されることはよく経験することです。痔と決めつけないで、検査を受けることを勧めます。自覚症状がない早期のがんを発見するには、便潜血検査が有効です。

 【治療】早期がんのうち、粘膜内にとどまる浅いがんでは内視鏡下に切除可能で、大腸がんのほぼ半数が内視鏡治療です。進行したがんではがん付近のリンパ節を含めた腸管切除が必要です。開腹手術が主体ですが、腹腔(ふくくう)鏡下手術もなされます。肛門近くのがんの場合、人工肛門が必要になります。
 早期に発見できれば100%近く根治可能で、侵襲(しんしゅう)の少ない内視鏡治療が可能です。自覚症状のない時期の検診や大腸検査の重要性を理解していただけると思います。
(県医師会員・いわき市)
=次回掲載6月19日

 



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