男女ともに多い死亡者
男性の喫煙率は年々少しずつ減少傾向にあります。それならば、男性の肺がんは減ってきているのでしょうか? 非喫煙者が多い女性の肺がんによる死亡が上位にランクされているのはなぜでしょうか?
肺がんの死亡者数は、本県においても2001(平成13)年から減少傾向にある胃がんを抜いて、第1位を続けています。肺がんは依然として男性に多く(07年も男性の第1位)、女性は若干増加しています(07年は女性の第3位)。肺がんの種類は、扁平(へんぺい)上皮がんと腺がんに大別(細胞による診断や病理組織学的診断)されます。
扁平上皮がんは喫煙との関係が強いがんです。タールなどタバコの成分や煙などの刺激が気道内に慢性的に加わることにより、年月を経て気管支などの粘膜の細胞に突然変異を生じ、「がん」が発生しやすくなります。初期は気管支内に小さなポリープ状で、その刺激による空せき(たんを伴わない)を生じますが、喫煙者はタバコによる慢性の気管支炎(いつも風邪をひいている状態に近い)の状態にあり、せきをすることが多く、この初期の兆候に気付かないことがほとんどです。
扁平上皮がんよりも多い腺がんは非喫煙者、特に女性に多く、受動(間接)喫煙の影響はあるかもしれませんが、多くは原因が不明です。扁平上皮がんとは異なり、肺の実質(肺そのもの)に発生する場合がほとんどで、大きさが5〜6センチ以上になっても、せきやたんなどの症状がない場合がほとんどです。
郡山市のT病院で切除した肺がんでは、男性は女性の2.1倍、腺がんは、扁平上皮がんの1.7倍でした。
(県医師会員・郡山市)
=次回掲載7月17日
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