2種類の検査で判定
肺がんから身を守るためには、タバコは吸わないこと、毎年検診を受けることが大切です。早期の肺がんであれば、手術などでほとんどが治ります。では、検診を受けるにあたり、何を知ればよいのでしょうか?
喫煙と関係のある扁平(へんぺい)上皮がんの場合は、気管支内のポリープ状のがんが大きくなるにつれ、粘膜からの出血を生じるようになります。その多くは、痰(たん)の中に少量の線状の血液がみられ、病院や診療所を受診する場合が多くあります。この時点でも胸部エックス線写真にはポリープ状のがんやそれに付随する異常所見はみられないことがほとんどです。そのため、胸部のエックス線写真を撮り、多くは「異常なし」と医師から言われることが少なくありません。胸部エックス線写真だけでは50点です。あとの50点は気道内から擦れて出る痰(喀痰=かくたん)を染色し、顕微鏡で見て痰の中に、悪性細胞(がん細胞)があるかないかを調べることにより、合計100点で肺がんの検査は完了します。胸部エックス線で「異常なし」の場合でも、喀痰の細胞診検査で悪性細胞が疑われた場合は、気道内の検査、つまり気管支鏡検査が必要になります(写真1)。
一方、非喫煙者に多い、腺がんは肺の実質(肺そのもの)に発生する場合がほとんどで、胸部エックス線写真にはほぼ円形の白い影として映し出されます。皮肉なことに、せきや痰などの症状がほとんどありません。しかし、幸いなことに、毎年、胸部のエックス線写真を撮ることにより、前年の写真と比較し、直径1センチ以下の小型の「がん」も発見されます。それゆえ、胸部エックス線写真のみで100点で肺がんの検査が完了します(写真2)。
肺がん検診で、本県では毎年100人前後が肺がんと診断され、半数が早期がんですが、進行がんも少なくありません。
(県医師会員・郡山市)
=次回掲載7月31日
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