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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 12 〕 山田 睦夫 医師    
【 乳がん(下) 】
初発、再発に対する治療

 乳がんの治療は、初発乳がんに対する治療と、再発・転移の乳がんに対する治療があります。
 初発乳がんの治療で最も効果的で科学的論拠のあるのは、手術と薬物療法、放射線療法です。
 直径1センチ早期発見された乳がんでも、がん細胞の数は1億個以上といわれますが、一度に取り去る「手術」が最も効果的です。手術の方法は大きく分けて二つあります。100年以上前から行われてきた乳房切除(乳房全切除)と近年増加傾向にある乳房部分切除(乳房温存手術)です。
 例えば、しこりが大きい、複数ある、皮膚にひどいひきつれがあるなど、がんの乳房内の進展範囲が広いと予想される場合は乳房全切除が選択されます。グラフのように現在では乳がんで手術をされる約6割の患者さんが乳房温存手術を選択されています。
 乳房温存手術は、乳房全切除術と同等の治療効果があることが証明されており、美容、機能上利点が多い優れた治療法です。乳房温存手術の後、局所再発の予防のため放射線療法を併用することがあります。
 薬物療法には、抗がん剤治療と内分泌治療(抗女性ホルモン療法)、分子標的治療があります。手術に薬物療法を加えることにより乳がんの再発が減少し、生存率が向上することが証明されています。薬物療法は手術後に行われることが通常でしたが、最近では組織検査を基に手術前に行ってしこりを縮小させる治療法があります。
 当初乳房温存手術が難しい場合でも、この治療の効果があれば可能となります。手術前の薬物療法で画像診断上、がんがほぼ消失することがあります(写真)。このような場合、手術をして生きたがん細胞が完全にないことが顕微鏡検査で証明されれば、再発の危険は低いとされています。
 再発・転移の乳がんの治療は、手術でなく前述の全身的な薬物療法が主体で、例えば脳や骨に転移したところに放射線療法が加わることがあります。
(県医師会員・郡山市)
=次回掲載9月4日

 



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