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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 13 〕 喜屋武 淳 医師    
【 前立腺がん(上) 】
高脂肪食が危険因子に

 前立腺は、男性にのみ存在し膀胱(ぼうこう)の出口に位置し、その中央を尿道が貫いています。精液の一部となる前立腺液を分泌する臓器です。クルミの実に似た形をしており、成人で直径約3センチ、体積は15〜20ミリリットルです。
 現在、前立腺がんはアメリカでは男性で最も多いがんです。日本では胃がん、肺がん、結腸がん、肝臓がん、直腸がんに次いで6番目の発生率です。しかし、危険因子としては高脂肪食があり、食生活の欧米化により2020年には肺がんに次いで2番目になると予測されています。
 特殊ながんを除いて40歳以下で発生することはなく、50代以降、年齢とともに増加します。前立腺の中心部(内腺)に生じる前立腺肥大症とは異なり主に辺縁部(外腺)に発生します。初期では自覚症状はほとんどありません。
 進行すると「尿が出にくい、近い」のような前立腺肥大症と同様な排尿症状が出現します。また骨に転移することが多く、転移性骨腫瘍(しゅよう)の精査で発見されることもあります。
 前立腺がんの早期発見のためには、血液検査で前立腺の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)の測定が有効です。
 50代になったら前立腺がん検診でPSA検査を受けることをおすすめします。基準値は年齢により異なり、50〜64歳は3.0以下、65〜69歳は3.5以下、70歳以降は4.0以下です。10.0以上ではがんの可能性が高く、さらに前立腺生検検査を受ける必要があります。基準値から10・0の場合は直腸診、超音波検査、を行い、前立腺生検を行うかを決めます。基準値以下の場合で1.1以上は年1回、1.0以下では3年ごとにPSA検査を受けることが推奨されています。
 前立腺生検とは、前立腺の組織を採取して病理検査を行い、がん細胞の有無を調べる検査です。
 通常、肛門から直腸内へ細長い超音波探触子を挿入、前立腺を確認しながら針を刺し、6〜12カ所の組織を採取します。無麻酔または局所麻酔で行い、検査時間は10〜15分です。1〜2泊の入院で行います。
(県医師会員・白河市)
=次回掲載9月18日

 



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