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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 16 〕 山田 秀和 医師    
【 子宮がん(中) 】
早期発見で妊娠も可能

 前回は子宮頸(けい)がんの原因がヒトパピローマウイルス(HPV)であることを書きました。今回はHPV感染後の経過と子宮がんの治療、そして予防ワクチンについて述べます。

 【子宮頸がんの発生過程と治療】性交によりHPVに持続感染した人は、ある日突然がんになるのでしょうか? 答えはNOです。HPVに感染すると、子宮がんになる前に子宮頸部は「異型上皮」という状態になります。
 異型上皮は軽度、中等度、高度の3段階に分けられ、数年経過して子宮がんになります。軽度、中等度の異型上皮は自然治癒する可能性が高いため経過観察します。高度異型上皮やごく初期の子宮頸がんは、「円錐(すい)切除術」という子宮の頸部を腟(ちつ)から切除する簡単な手術で治癒します。早産や流産のリスクは若干高まりますが、妊娠し、赤ちゃんを産むことも十分可能です。
 問題は上皮内がんまでに発見できるかどうかです。初期の子宮頸がんや異型上皮は全く無症状で、症状が出てから医療機関を受診した例のほとんどは進行がんとなっています。従って、ごく初期のがんを発見するには子宮がん検診しか手立てはありません。進行がんで発見された場合には、「広汎(こうはん)子宮全摘術」という手術中の出血が多く、術後に尿が出にくくなるなどの合併症の多い手術を受けなければならなかったり、放射線や抗がん剤による治療が必要になったりします。

 【予防ワクチンについて】最近、子宮頸がんに対する予防ワクチンが開発され、日本でもこの秋に承認される予定です。このワクチンはHPVの16、18という子宮頸がんの原因の70%を占める二つの型に対するもので、10〜12歳までの女児に接種した場合に最も効果が高いとされています。
 このワクチンを受ければ、理論的には子宮頸がんの約7割が予防できるわけです。この年代のお子さんをお持ちの方は、ぜひご検討されてはいかがでしょうか。
(県医師会員・福島市)
=次回掲載10月30日

 



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