ほとんどが膵管から発症
【膵(すい)がんとは?】膵臓から発症したがんです。膵臓は胃の後方(背側)に位置し、長さ20センチほどの、イメージとしては「おたまじゃくし」のような細長い臓器です。右側から膵頭部、膵体部、膵尾部に分けて表現されます。膵頭部の右側は十二指腸で囲まれており、膵尾部の左側は脾臓(ひぞう)に接しています。膵頭部は膵臓の体積のおよそ6割を占め、膵がんの多くは膵頭部に発症します。
【膵臓の構造と働き】膵臓は、消化液の膵液を出す外分泌腺の腺房、膵液を運ぶ膵管、血糖を調節するホルモン(インスリンやグルカゴン)などを出す内分泌腺のランゲルハンス島などで構成されています。
膵管は魚骨のように細長い膵臓に分布し、膵頭部で胆汁を運ぶ総胆管と合流して共に十二指腸乳頭に開口しています。
膵がんは、ほとんど(9割以上)が膵管から発症します。
【膵がんの症状】極めて早期には症状は見られません。この所見があれば「膵がん」といった症状はありませんが、がんがある程度大きくなって、膵管をふさぐと膵炎を起こし腹痛が出ることがあります。それが「随伴性膵炎」といわれるものです。
膵頭部の総胆管の近傍の膵組織からがんが発症したときは、膵がんが比較的小さい時期から総胆管を閉塞(へいそく)し、黄疸(おうだん)を認めることがあります。
そのような閉塞性黄疸で膵がんの診断がついたものは、手術後の経過も比較的良好です。
一方、膵体部、膵尾部のがんは早期の診断がより困難なことが多いといえます。
(県医師会員・いわき市)
=次回掲載1月29日
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