飲酒や喫煙が深く関係
【咽頭(いんとう)がん】咽頭にできるがんといっても、咽頭の部位がどこかは分かりにくいと思います。口と食道の間の、一般に「のど」と呼ばれる場所です。咽頭の特徴は、食事と空気の両方が通過する部位であることです。咽頭は食事の飲み込みや言葉の発声という大切な機能に関係します。
この咽頭にできるがんは飲酒と関係し、喫煙も加わると発がん率はさらに高くなります。飲酒が習慣化されているフランスや、日本では南西日本での発がん率が高いのですが、やはり、個人の過度な飲酒や喫煙といった生活習慣に大きく関係し、男性に多い理由でもあります。食道がんも飲酒に関係するため、咽頭がんに罹(かか)りやすい人は食道がんのリスクが高いともいえます。また、貧血と咽頭がんの関係も報告され、貧血の女性でも注意が必要です。
咽頭がんは、頭頸部(とうけいぶ)がんの中で治癒率の低いがんです。喉頭(こうとう)がんと比べて早期発見が難しく、病院で受診した時には進行した状態で見つかることが少なくありません。進行した状態での治療は手術治療が主となり、咽頭とともに喉頭の摘出も必要な大きな手術になり、生活の質の低下は避けられません。
一方、早期の場合には、放射線治療や体の負担や後遺症の少ない手術が可能で、治療方法は大きく異なります。そのため、早期発見こそが治療の重要なポイントとなります。
【のどの症状に注意】初期症状は、のどの違和感、飲み込むときの痛みですが、特徴的なことは、のど全体ではなく、のどに魚の骨が引っ掛かっているような一カ所の違和感、痛みであり、ビールや辛いものを飲んだときに「ピリッ」「チクッ」とする感じがなかなか取れないときは注意が必要です。飲酒・喫煙習慣のある方でこんな症状が出たら、ぜひ、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。
(県医師会員・福島市)
=次回掲載5月7日
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