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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 32 〕 亀岡浩 医師    
【 膀胱がん 】
赤い尿が出たら受診を

 映画「ブラック・レイン」「家族ゲーム」などで知られる俳優松田優作さん。30代、これからという時期に患ったのが膀胱(ぼうこう)がんでした。日本では毎年約1万5000人の方が診断され、約5000人が亡くなっており、泌尿器科領域で最も多いがんとされています。
 どんな方が発病しやすいのでしょう。男性、特に50歳を過ぎると増加するといわれています。優作さんのような若い時期での発症も見られます。喫煙との関連が強く、今は喫煙していなくとも、喫煙歴の長い方、また、若年期に喫煙された方に発病しやすいとされています。優作さんもかなりのヘビースモーカーだったようです。
 予防のために気を付けることは何でしょう。禁煙以外には、低脂肪食や果物、野菜の摂取、緑茶のカテキン、ビタミンA、C、Eなどのサプリメント補給です。また、1日2500t以上の水の摂取が有効との報告もあります。
 どんな症状で受診したらよいでしょう。膀胱がんは、膀胱内側の表面から発生し、進行すると膀胱壁の中に入り込みます。ですから、初期には出血のため尿が赤くなることがほとんどです。これに気付いたらすぐに受診してください。その後、膀胱壁の伸びが悪くなり、尿が近くなります。さらに病状が進むと全身へ転移し、足がむくんだり、骨が痛んだりします。
 優作さんの遺作となった「ブラック・レイン」。高い評価を受け、その年の東京国際映画祭でクロージング作品に決まりました。しかし、既に病状の進行していた彼は、映画祭への出席はできませんでした。撮影中、病気のことは一言も口にせず、スタッフの誰一人、気が付かなかったそうです。役作りにこだわった優作さんの強い生き方がうかがわれます。
 でも、できればもう少し早めに治療を行い、病気を乗り越えた演技を見たかったと思うのは私だけではないでしょう。次回は、膀胱がんの治療法を中心にお話ししましょう。
 (県医師会員・郡山市)
=次回掲載6月18日


 



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