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 【 〔がんと向き合う〕TOP
がんと向き合う
〔 39 〕 遠藤清次 医師    
【 甲状腺がん 】
40歳以上女性に多く発症

 【甲状腺とは】甲状腺は喉仏(のどぼとけ)のやや下にある重さ20〜30グラムでチョウのような形をした臓器です。正常な甲状腺は柔らかいため、体表から触れることはありません。甲状腺からは甲状腺ホルモンが分泌され、血液の流れに乗って体の隅々まで届けられ、さまざまな作用を発揮します。体温調節や脈の速さの調節など生きていく上で欠くことのできない重要なホルモンです。

 【甲状腺癌について】甲状腺癌(がん)は40歳以上の女性に多く発生します(男女比は1対4)が、なぜ女性に多いのかはよく分かっていません。また、発生原因もよく分かっていませんが、頸(けい)部への放射線照射や被ばくは原因の一つとして知られています。旧ソ連チェルノブイリ原発の事故後、周辺の小児に甲状腺癌が多発しました。
 甲状腺癌は、顕微鏡での見え方から、乳頭癌、濾胞(ろほう)癌、髄様癌、未分化癌に大別されます。このうち、乳頭癌、濾胞癌は進行がゆっくりで、適切な診断、治療が行われれば、10年生存率(10年後に生存している確率)が90%以上であり、性質のおとなしい癌といえます。特に、45歳以下の患者さんの場合は、さらに性質がおとなしいという特徴があります。この理由もよく分かっていません。
 乳頭癌は、甲状腺癌のうちで最も多く、全体の約85%を占めます。甲状腺周囲のリンパ節に転移をすることが多いという特徴があります。濾胞癌は、全体の約10%です。乳頭癌に比べて、リンパ節転移はまれですが、肺、骨などへの遠隔転移の頻度がやや高いという特徴があります。髄様癌は、5%程度でまれな癌ですが、遺伝性のものがあります。未分化癌は、2〜3%とまれな癌ですが、高齢者に多く、極めて進行が早く性質が悪いという特徴があります。
 このように、甲状腺癌の多くは進行がゆっくりであるため、落ち着いてしっかりと正確な診断を受け、それに基づいた適切な治療を受けることが重要です。
(県医師会員・南相馬市)
=次回掲載9月17日


 



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