外科手術が治療の原則に
【甲状腺癌(がん)の診断】甲状腺にしこりを認めた場合、そのうち10〜20%が甲状腺癌で、その他は良性のしこりです。良性・悪性を区別するために、頚(けい)部超音波検査、穿刺(せんし)吸引細胞診、血液検査、CT(コンピューター断層撮影)検査、核医学検査などを行います。
超音波検査は、外来で行える検査で、しこりの大きさ、形、内部の性状、周囲への広がりを診断することができます。細胞診は、しこりがどのような顔つきの細胞から成り立っているのかを診断するために行います。
血液検査では、サイログロブリンという物質の濃度が、良悪性の区別に役立つことがあります。また、手術後に再発や転移を発見する手掛かりになることもあります。
CT検査は、癌の広がりを判定するために行います。核医学検査のうち、タリウムシンチグラムは良悪性の区別や癌の広がりを判定するために行います。
【甲状腺癌の治療】甲状腺癌の治療の原則は、外科手術です。しこりの大きさ、広がり具合によって、甲状腺を半分だけ摘出する場合(葉切除)と、全部取る手術(全摘)を行う場合があります。また、甲状腺周囲のリンパ節を併せて摘出(リンパ節郭清)しますが、その範囲も、しこりの大きさ、広がり具合、手術前のリンパ節の腫れ具合によって決定されます。
多くの甲状腺癌は、手術によって治療が可能であり、術後に抗癌剤治療を行うことはありません。全摘術後は、甲状腺ホルモン剤を服用する必要がありますが、葉切除術の術後にも、再発予防のために、甲状腺ホルモン剤を服用する場合があります。
全摘術後に再発や遠隔転移が疑われた場合、放射性ヨード検査を行います。この放射性ヨードは治療にも用いられています。甲状腺はなじみの薄い臓器ですが、しこりを体表から触れることができます。ぜひ、一度チェックしてみてください。しこりが触れた場合には、まずかかりつけの医師にご相談ください。(県医師会員・南相馬市)
(おわり)
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