【健康長寿・糖尿病(4)】治療楽しみながら 続けるため内容工夫

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 「診断されたって痛みもかゆみもない。症状が全くないから、ずっと気にしていなかった」

 男性(67)=いわき市=は20年ほど前に糖尿病と診断された。父が糖尿病で、8人兄弟のうち4人が糖尿病という家族歴がある。若い頃からお酒も甘い物も好きで、特に好物なのが大福だった。

 転機は8年前だった。知人の紹介で糖尿病を専門とする「たねだ内科クリニック」(いわき市)に通い始めた。スタッフと患者が一緒になってハイキングや体操教室を行うなど、ユニークな取り組みで知られる。種田嘉信院長(54)は「糖尿病は一生付き合う病気です。治療を継続するには楽しみながら取り組むことがポイント」と指摘する。

 低カロリーの料理会

 療養中でも食べる喜びを感じてほしいという思いから始まった「低カロリーで食べるフランス料理の会」は、今年夏の開催で30回目を迎えた。地元レストランとの共同開発で、通常なら約2000キロカロリーにもなるフルコースを約600キロカロリーまで抑えることに成功した。油や調味料を極力使わず「蒸す」や「煮る」などと調理法を工夫することで、低カロリーでもおいしいフランス料理を実現している。

 「患者さんの一番の悩みは食事です」と種田院長。「あれもだめ、これもだめでは楽しい生活を送ることができない。カロリーさえ気を付けていれば、おいしいものも食べることができることを伝えたかった」

 反響は大きく、毎回定員オーバーになるほどの人気イベントになっている。「食べることが大好きだから、参加してみようと思った」と話す男性も常連の一人だ。「おいしくてボリュームがあり、低カロリーとはとても思えない。参加者同士の会話も楽しい」

 演劇仕立ての講演会

 毎年春に行う講演会では、スタッフ総動員で「糖尿病劇場」を披露する。3幕構成で計45分の本格的な演劇だ。院長が本人役で出演し、スタッフが患者役を演じる。栄養指導や診察風景をコミカルに描き、笑いを交えながら糖尿病の正しい知識を伝えていく。毎回、新作の脚本を自ら手掛ける種田院長は「合併症が進行して悪化する前に、糖尿病のことを多くの人に知ってほしくて始めた」と話す。

 現在の男性はクリニックの栄養指導により、野菜を多く食べ、炭水化物は食べ過ぎないようにしている。大好きなヨーグルトは無糖のものに変えた。運動は犬の散歩を1日1時間。無理をしない範囲で生活改善に取り組み、血糖値も改善に向かっている。「合併症は怖いが、数値ばかりの人生はつまらない。普段の生活も楽しみたい」。快活に笑った。