【健康長寿・運動不足(1)】車中心、歩かぬ生活 「予備軍」宣告に愕然

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運動教室で声を掛け合いながらスクワットに取り組む参加者=郡山市・うさみ内科

 健康づくりに欠かせないのは適度な運動だ。厚生労働省によると、身体活動量が多い人は死亡率の低下をはじめ、心臓病や糖尿病、高血圧、結腸(大腸)がんなどの罹患(りかん)率の低下に効果をもたらすとされる。特に福島県ではメタボリック症候群の割合が全国ワースト3位(特定健診を受けた男女の17.1%)と高く、運動不足は喫緊の課題だ。

 「まさか私が...」

 会津若松市の女性(60)は、会社で年1回行う定期健康診断の結果に愕然(がくぜん)とした。血圧130以上で血糖値も高く、腹囲は90センチ以上。医師から「生活習慣病の予備軍」と言われた。

 野菜中心の食生活を心掛けており、お酒やたばこの習慣もない。健康には自信があったので、なおさらショックだった。思い当たることといえば運動不足だ。「運動する習慣がなく、車中心の生活をしていて、ほとんど歩くことがなかった」と振り返る。

 それから半年。女性は健康指導を受けることになった。毎朝の体重測定と血圧測定、それと、20分ほどのストレッチを日課にした。休日はウオーキングもするようになり、運動習慣が身に付いていく。昨年の健康診断では「数値が改善した」と声を弾ませる。「軽めの運動でも気分が良くなる。これからも続けようと思う」

 男女問わず運動不足

 運動不足は男女を問わずみられる傾向だ。総務省の最新の調査によると、本県でウオーキングや軽い体操を含むスポーツを1年間に行ったと答えた人の割合は63.1%と全国平均を下回った。東京都の75.7%と比べてもかなりの開きがある。

 ウオーキングには挫折をしたが、室内での運動なら継続できている市民もいる。郡山市の男性(75)は、通院中のうさみ内科(郡山市)が開く運動教室に毎週参加している。運動のメニューは「膝を曲げきらない簡易なスクワット」と「膝つき腕立て伏せ」。この二つを10回1セットとして、3セット行う。

 男性は糖尿病予備軍、さらに不整脈の一種である心房細動と診断されていた。心房細動があると血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まる。ウオーキングを勧められてしばらく試したが、単調さに退屈して長続きしなかった。運動教室には2年前から通い続けている。

 運動での予防医療に長年取り組んできた同医院の宇佐見啓治院長(62)は「簡単な室内運動でも十分に効果がある」と指摘する。

 基礎代謝アップ

 「運動で筋肉が少しでも増えれば体の基礎代謝が上がり、エネルギーを燃やしやすい体になる。体の中で最も大きい筋肉は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)(太ももの前側)で、2番目に大きいのは大胸筋。この二つをゆっくり鍛えれば、体への負担も少なく、効率のいい運動になる」

 男性は「ここで汗を流すと調子が良くなる。ゆっくりしたペースも自分に合っている」と話す。教室に通い始めてからは数値が安定するようになった。「教室に来れば仲間がいる。多少きつくても、みんなと輪になってやっているから続けられるのかもしれない」。顔の汗をタオルで拭いながら楽しそうに笑った。