「健康悪化」生産性の損失大 公衆衛生学会、年間1億8122万円

 

 大手企業と連携して県内企業の「健康経営」を進める県の事業に昨年度取り組んだ県内7社を調査した結果、健康状態の危険性が高い社員ほど労働生産性の損失額が大きいことが25日、分かった。同日、郡山市で開かれた日本公衆衛生学会総会で東大健康経営アドバイザーの村松賢治氏が報告、7社全体の労働生産性の損失額は推計で年間1億8122万円だった。

 調査では7社の社員計318人にアンケートを実施して得た289人分の有効回答のほか、インタビュー調査を分析。村松氏は「健康経営の取り組みは従業員の健康意識に加え、職場の一体感も向上させることが期待された」と結論付けた。同事業では「カゴメ」や「花王」などの大手企業が県内企業と連携して健康経営を進めており、本年度は新たに6社が取り組む。

 総会ではこのほか、県健康増進課の前田香専門保健技師、昨年度同事業に取り組んだ須賀川瓦斯(ガス)の橋本直子社長、須賀川瓦斯と連携して行った花王の森本聡尚氏が同事業の取り組みを報告。橋本氏は「社員のコミュニケーションが増え、メディアでも取り上げられて地域から興味を持ってもらえるようになった。ただ健康への道は終わりではなく、継続に向け社員の意識を高めることが課題」と語った。