『健康改善』...悩む自治体 59市町村調査、住民意識向上に課題

 

 県民の健康対策を巡り、県内35市町村が「住民への健康改善の意識付け」に課題を抱えていることが2日、福島民友新聞社が実施した59市町村へのアンケート調査で分かった。急性心筋梗塞の死亡率が全国ワーストとなるなど県民の健康指標が悪化する一方、依然、健康意識の普及に自治体が苦慮する実態が浮き彫りとなった。

 アンケートは昨年12月~今年1月に実施。最も対策が必要な健康課題について6項目から一つのみの選択で回答を求めた。その結果、「住民への健康改善の意識付け」が最多で、「食生活改善」が11市町村、「運動不足」が5市町村、「高齢者の健康増進」が1町、「禁煙・受動喫煙対策」が1市、「その他」が6市町村だった。

 住民への意識付けを選択した市町村の多くは、特定健診(40~74歳)や健康診断、特定の病気を見つける検診の受診率が低いと指摘。早期受診で生活習慣病や急性心筋梗塞などの予防・改善につなげたいが、「健康だから健診を受けないという人が多い」(古殿町)、「特定保健指導への40~50代の参加が少なく、生活習慣改善に向けた行動変容が難しい」(新地町)など受診勧奨しても進まない現状が浮かび上がった。

 また食生活改善や運動不足を選んだ市町村は、メタボリック症候群や肥満の割合が高いと指摘。「食事の摂取量が過剰で飲酒の頻度や量が多い」(只見町)、「震災後は外を歩く頻度が減少傾向」(南相馬市)など、日常の食生活の影響に加え、震災と原発事故後の生活環境の変化を課題に挙げる意見もあった。

 県は、健康に関心が低い県民への啓発に力を入れる。スマートフォン向け「健民アプリ」や新聞などに健康問題を出題する「健民検定」を行っているほか、3月には知事をトップとする官民一体の新たな推進組織も設立する。アンケート結果について県健康増進課は「無関心層を巻き込むような対策が必要だ。学校や職場、地域など多角的な視点で健康意識の普及が図れるよう、取り組みを進める」としている。

 事業さまざま!体操DVD、減塩の店認定

 介護予防に向けた市町村独自の体操や減塩の取り組み、運動の推奨など事業は幅広く多種多様だ。

 福島市は介護予防に向け、約30分間の体操DVDを使って団体の健康づくりを支援。体操後には茶話会や食事会なども開かれ、交流の場となっている。市町村独自の体操は下郷町や棚倉町なども取り組み、地域の自主活動を応援している。楢葉町は、「Jヴィレッジフィットネスジム」と協働でストレッチやアクアビクスを組み合わせた運動教室を開いている。

 食生活改善では、白河市が減塩の普及啓発に向け「へる塩プロジェクト」と題し、減塩メニューを提供する飲食店を認定している。川俣町は、健康相談や集団健診時に減塩の「みそ玉」を使った味噌汁の試飲を実施。小野町は塩分測定器の購入費の一部を助成し、約12%の世帯が購入して健康管理に役立てている。

 また西郷村は、日々の食生活や運動習慣に対し、つうしんぼと称してアドバイスし、村民自身が行動できるよう支援。玉川村は、各行政区に認定コースを設定。歩数計で歩数をポイント化して商品券と交換することで、健康づくりと商工振興を一体的に進める取り組みを行っている。