健康指標悪化に危機感 介護保険料、メタボ増...改善へ官民一体

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で8年を迎える中、県民の健康悪化が喫緊の課題だ。特に多くの避難住民を抱える双葉郡の町村では、長期避難に伴う生活環境の変化で健康指標の悪化が目立ち、生活習慣病対策が急務となっている。介護保険料の増額やメタボリック症候群の割合の増加などの数値で表れており、県や市町村も危機感を募らせる。

 高齢化が健康問題に拍車を掛けている実態もある。昨年4月に改定された65歳以上の介護保険料(基準月額)は県内59市町村のうち55市町村で上昇。保険料の高い全国の自治体の上位10位に県内7町村が入り、双葉郡8町村では5町村で8千円超の高額となった。

 全国で最も高かったのは葛尾村の9800円で2300円の増額。このため村では、有識者らでつくる対策検討チームが組織され、介護予防対策の強化などを提言書にまとめた。村は「避難の影響で住民が農作業をできなくなり、震災前に比べて体力が低下した」と要因を分析。要支援・要介護認定者の重症化を防ぐ効果的な体操教室の開催を新年度、検討する。

 生活習慣病の危険性があるメタボ対策も急務だ。特定健診を受けた県民のうち、国民健康保険加入者のメタボ率(2016年度)を方部別にみると、浜通りが21.6%と最も高く、震災後は上昇傾向が続いている。

 こうした現状を打開するため、いわき市は今年を「健康元年」と位置付け、メタボを改善する長期的な健康教室の開催を検討する。自治体が独自の健康対策に乗り出す中、避難住民を抱える町村からは「住民が(現在の)居住地で健康づくりに取り組める体制整備が大切」との声もあり、全県的な健康対策が欠かせない。

 県全体のメタボ率も全国ワースト3位に低迷。今月下旬に官民一体の新たな推進組織を設立し、健康意識の普及拡大を図る県は「市町村との連携を強め、地域と職域を通じて県民一人一人へのアプローチを強めていく」(健康増進課)としている。