口腔ケア
口の機能のリハビリ
高齢者が要介護状態になると、さまざまな障害を携えながら余生を送ることになります。中でも食べる機能に障害があると、低栄養や脱水症状を起こしやすく、誤嚥(ごえん)や窒息の危険が高まります。また、全身的な運動機能も低下し、生きる楽しみがなくなってきます。
そこで、歩行障害や言語障害にリハビリテーションがあるように、口の機能障害にもリハビリテーションの必要があります。
口腔(こうくう)ケアという言葉は、単に口の清掃の意味だけでなく、最近では広く口の機能のリハビリテーションの意味で使われています。口腔ケアは具体的には①口の中をきれいにすること②口の働き(食べる、飲み込む、発音)を向上させること③口の中の疾患(むし歯、歯周病、入れ歯の不具合など)を治療すること、が挙げられます。
①については、まず口の中を見てください。入れ歯があれば、外して水を流しながらぬめり感がなくなるまでブラシを使ってよく洗います。口の中に痰(たん)や食物が残っていれば、ぬれた綿棒などを使って取り除きます。
歯の清掃は基本的に歯ブラシを使います。軟毛のものを使いますが、粘膜用ブラシもあります。歯ブラシがうまく使えない時は、柄を太く握りやすくしたり、電動歯ブラシを使ったりしてみてください。舌苔(ぜったい)=舌の表面に付く白っぽい汚れ=があれば、舌ブラシやガーゼを使って取ります。口蓋(こうがい)部(口のアーチ形の上壁)の汚れもガーゼでふき取ってください。
口腔清掃は、口の中の細菌数を減らすことで、誤嚥性肺炎の予防に効果的です。②、③については、障害の程度や介護度によって対応が異なるので、かかりつけ歯科医に相談してみてください。
(県歯科医師会)